1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454079
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田中 克 京都大学, 農学部, 助教授 (20155170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊原 治彦 京都大学, 農学部, 助手 (90183079)
青海 忠久 京都大学, 農学部, 助手 (10144338)
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Keywords | 異体類 / ヒラメ / 甲状腺ホルモン / コルチゾル / 胃腺 / 変態 |
Research Abstract |
異体類の変態期に生じる体の作り換えの中で消化系にみられる変化は,最も顕著な構造的変化の一つである。今年度はヒラメの変態期における消化系の発達を組織学的に観察するとともに,消化酵素活性の変化を測定した。また,昨年度の研究によって解明の必要が示唆されたコルチゾルと水温の関連や変態期における間腎組織の変化についても調べた。 ヒラメの変態期における最も顕著な消化系の変化は胃の構造的・機能的発達である。胃は前変態期には食道部と腸の間にわずかにその存在が認められる程度であるが,変態開始とともに後方へ膨らみ始め,その上皮層下には胃腺が分化し始める。胃の膨大化と胃腺数の増加は変態の進行とともに顕著になり,変態完了期には肓のう部を備えた機能的な胃が完成する。このような胃の構造的変化と対応して,ペプシン様酵素活性は変態後期〜完了期に急速に高まる。一方,仔魚期の蛋白質の消化に中心的な役割を果すトリプシン様酵素活性は変態最終期に著しく低下した後,変態完了とともに再び上昇した。仔魚の消化吸収を特徴づける飲作用による蛋白質の摂取は変態期には不鮮明になるが,外因性の甲状腺ホルモンにより,変態期においても著しく顕在化することが明らかになった。このことは甲状腺ホルモンが腸上皮の透過性に変化をもたらし,仔魚の消化吸収に重大な影響を与えるものとして注目される。 変態期のヒラメ体組織中コルチゾル濃度は,水温18℃では甲状腺ホルモンと同期して顕著に上昇したが,水温14℃や22℃ではレベルも低く,サージの形成も認められなかった。一方,間腎細胞の核の面積はいずれの温度区においても変態中〜後期に有意に増大し,潜在的には活性化することが確認された。コルチゾルは外的諸要因の影響を受け易く,今後ストレスと関わる諸要因との関連を考慮した上で,変態に果す役割を解明する必要が認められた。
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[Publications] R.Kimura: "Developmental changes in tissue thyroid hormone levels of red sea bream Pagrus major" Nippon Suisan Gakkaishi. 58. 975- (1992)
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[Publications] T.Seikai: "Process of pigment cell differentiation in skin on the left and right sides of the Japanese flounder during metamorphosis." Japanese Journal Ichthyology. 39. 85-92 (1992)
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[Publications] M.Tanaka: "Developmental changes in tissue concentration of cortisol in metamorphosing Japanese flounder at different temperatures." Nippon Suisan Gakkaishi. (1993)
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[Publications] M.Tanaka: "Developmental changes in structure of the digestive system and activities of the digestive enzymes in metamorphosing flounder." Journal of Fish Biology. (1993)