1992 Fiscal Year Annual Research Report
DNA多型を利用した但馬牛繁殖雌牛集団の遺伝・育種学的分析
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02454093
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
後藤 信男 神戸大学, 農学部, 教授 (80195940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 文雄 神戸大学, 農学部, 助手 (50093323)
辻 荘一 神戸大学, 農学部, 助教授 (10031220)
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Keywords | DNA指紋 / 黒毛和種牛 / 親子鑑別 / RFLP / ウシリポプロテインリパーゼcDNA |
Research Abstract |
DNA多型分析は、DNAフィンガープリント法と制限酵素切断断片長多型分析(RFLP)からなっている。前年度までは前者分析法により、但馬牛繁殖雌牛集団の多型分析を行ってきたが、今年度は、後者分析を同集団に適用した。プローブとしてはウシ由来の脂肪代謝の一酵素であるリポブロテイン・リパーゼ(LPL)のcDNAを用いた。結果は次のとおりである。 LPLのcDNAを、アミノ酸をコードしている5'の部分と3'の非翻訳領域とに分割し、それぞれをプローブとした。3'非翻訳領域のプローブではHindIIIをのぞいてRFLPは認められず、HindIIIのRFLPも明瞭ではなかった。一方、アミノ酸をコードしている5'の部分をプローブとすると、調査した9種類の制限酵素のうち、HindIII、Pst1、HaeIII、Tag1、Msp1の5種類の多型が観察された。兵庫県の閉鎖繁殖雌牛集団では、それらのRFLP型はハプロタイプ様のクラスターを形成して、お互いに関連しており、個体はAA型、AB型、BB型の何れかに分類された。このように5種類もの制限酵素が一致した挙動を示すことは珍しく、その原因としては5種類の制限酵素で切断される比較的長い断片がイントロン部位で正逆の方向に挿入されている可能性が高いものと推定された。美方郡の繁殖雌牛集団116頭ではAタイプのクラスターの遺伝子頻度は0.418、Bタイプのそれは0.582であった。この多型は対立関係にあって単純なメンデル遺伝をするものと推定された。また、20頭の肥育去勢牛の枝肉の調査ではこのRFLP型と枝肉の肉質、日本格付協会の脂肪交雑評点(BMS)との関係は直接には認められなかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 万年 英之: "M13ファージ反復配列をプローブとしたウシのDNAフィンガープリント分析" 日本畜産学会報. 63. 928-934 (1992)
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[Publications] 向井 文雄: "黒毛和種閉鎖育種集団における繁殖雌牛の体測定値の遺伝的趨勢" 日本畜産学会報. 63. 398-406 (1992)
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[Publications] 向井 文雄: "性により記録される形質が異なり場合のアニマルモデルによる育種価評価値の正確度" 日本畜産学会報. 63. 488-494 (1992)
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[Publications] 向井 文雄: "アニマルモデルBLUP法による枝肉形質に関する育種価予測値の正確度の近似値" 日本畜産学会報. 64. (1993)