1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454094
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 耕作 九州大学, 農学部, 助教授 (50038220)
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Keywords | 体外受精 / 受精卵挿入 |
Research Abstract |
1)卵子の採取には,白色レグホン系コマ-シャル鶏を用い,推定排卵時刻の約20分後と殺開腹し,リンゲル液を入れたビ-カ-に取出した。精子はロ-ドアイランドレッド種の腹部マッサ-ジ法により採取し,リン酸緩衝液で2倍に希釈して冷蔵庫に保存した。この精液は使用直前リンゲル液で100倍に希釈して胚盤上に注いだ。上記卵子の採取には開腹後腹腔内に大量のリンゲル液を注ぎ,スプ-ンで卵子を取出すと約90%の確率で採卵出来ることがわかった。また,採取精液はすみやかにリン酸緩衝で希釈することが重要な処置であることが明らかとなった。 2)41℃のリンゲル液を80ml入れたビ-カ-に排卵直後の卵子を入れ,希釈精液0.1(最終希釈倍率,200倍),0.05,または0.01mlを胚盤上に静かに注入し41℃の恒温槽に15分間入れて受精させた。一方,排卵直後の鶏の腹部を切開したのち,ろ斗部を体外に引き出し,その先端部をゴムひもで連結した3個のクリップではさみ吊した。受精が達成された卵子をこのろ斗部開口部に挿入し,卵白分泌部の入口まで進入するのを待って,切開部を縫合した。 3)受精卵挿入の翌日産卵した硬穀卵をふ卵器に入れ,入卵3日後から検卵を行なった。その結果,90個の採卵数に対し39個(43%)が硬穀卵として産卵された。硬穀卵の受精率は33%(21個)であった。注入精液量に対する受精率は,0.1mlで65%,0.05mlで20%,0.01mlで38%であった。しかし,ふ卵9日目に死亡した胚が17個もあり,受精卵の大多数の胚(81%)がその期間に死滅した。一方,12日以上生存した胚は4個あり,このうち1個がふ化し約1ヵ月間成長を続けた。このように,体外受精によりふ化した例はなく,またこの方法を用いてふ化率を向上させることが出来れば,鶏においても遺伝子挿入による新品種の作出も可能である。
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