1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
唐木 英明 東京大学, 農学部, 教授 (60011912)
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Keywords | 平滑筋 / 細胞内カルシウム / カルシウム感受性 / ミオシンリン酸化 |
Research Abstract |
平滑筋の受容体の刺激によりイノシト-ルリン脂質代謝回転が活性化され、細胞内のCaが増加すると、Caーカルモジュリンーミオシン軽鎖キナ-ゼ系によりミオシンがリン酸化を受け、これがアクチンと相互作用を生じて収縮を発生する。Ca濃度が減少するとホスファタ-ゼの働きでミオシンは脱リン酸化され、筋は弛緩すると考えられている。我々は細胞内遊離Caと収縮張力の同時測定から、受容体刺激時において、収縮蛋白系のCa^<2+>感受性が増強される可能性と、Caに依存しない収縮が存在する可能性を示唆した。本年度の研究では以下の点を明らかにした。 1 ミオシンのリン酸化量の測定結果から、受容体作動薬の存在下ではより多くのミオシンがリン酸化されることを見出した。このことは、受容体刺激はCaの増加によるミオシン軽鎖キナ-ゼの活性化の他に、何等かの機構を介してミオシン軽鎖キナ-ゼをさらに活性化するか、あるいはホスファタ-ゼを抑制し、その結果ミオシンのリン酸化量をさらに増加させ、これがCa感受性の増加のひとつの機序であることが示唆された。 2 受容体刺激による収縮は、Caチャンルブロッカ-を用いて細胞内Caを静止レベルまで減少させても、なお一部残存する。このときにミオシンのリン酸化量は静止値まで戻っていることが見出された。このことは、平滑筋の収縮にミオシンのリン酸化とは無関係な部分があることを示す。 3 Cキナ-ゼの活性化をおこすホルボ-ルエステルは受容体刺激と類似の作用を持つことが見出された。このことは、上記1および2の作用に、Cキナ-ゼによる蛋白質のリン酸化が関与することを示す。
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Research Products
(1 results)