1991 Fiscal Year Annual Research Report
細胞複合体としての肝類洞壁の構造と機能に関する研究
Project/Area Number |
02454110
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Research Institution | Department of Anatomy, Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
和気 健二郎 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00046963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 研司 大阪市立大学, 医学部, 教授 (30161186)
妹尾 春樹 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (90171355)
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Keywords | 肝臓 / 肝類洞 / Kupffer細胞 / 内皮細胞 / 類洞周囲星細胞 / 肝再生 / ピット細胞 / 肝移植 |
Research Abstract |
肝NK細胞(ピット細胞)が生物活性調節因子によって活性化する際、肝類洞内皮に接着し肝内の細胞数が増加することをすでに報告していたが、その接着の様子、接着時間等は不明であった。今回顕微映画法によって生体肝を観察した結果、リンパ球やピット細胞が内皮表面に接着しては血流によって転がるように移動することが明らかとなった。またその停留時間は以前想像された時間よりもかなり短かく、肝類洞の機能的長さ(血流が門脈枝から中小静脈まで流れる類洞の長さ)に対してどれ程の時間リンパ球がとゞまるか今後討測していきたい。 つぎに類洞周囲星細胞が生後どのように突起を発達させていくかをゴルジ法を用いて3次元的に解析した。また分離星細胞が培養下でどのように突起を発達させていくかを映画で観察し、生体における発達と比較した。生体培養下ともに星細胞は特徴的な樹枝状の突起を発達させたが、培養2日以降は次第に膜状突起へ変化した。このときプロスタグランディンE_2を培養基に投与すると再び樹枝状となった。この変化は可逆的であった。このことから、星細胞はKupffer細胞や内皮細胞が放出する化学的メディエイタ-によってコントロ-ルされることが明らかになった。何故ならばKupffer細胞培養上清でも同様な変化が観察されたからである。 このほかKupffer細胞がピット細胞の活性化に関与し、細胞障害活性に直接間接に関与することが示唆された。また肝再生、肝移植における両細胞の消長についても実験したが、再生や拒絶反応の機構への関与についてはさらに研究を進める必要がある。 次上の結果から肝類洞壁は4種細胞が構造的機能的に結合した細胞後合体であり、それ自身が肝臓の網内系組織を形成しているという新たな概念を提唱した。
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