1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454134
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田中 利男 三重大学, 医学部, 教授 (00135443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中 充子 三重大学, 医学部, 助手 (10093139)
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Keywords | カルシウムイオン / カルシウム結合蛋白質 / S100蛋白質ファミリ- |
Research Abstract |
カルシウム依存性細胞機能は、収縮反応、分泌現象、細胞増殖等が代表的なものであり、その生理的重要性は、多くの研究者により確認されている。しかしながら、これらのカルシウム依存的細胞機能調節の分子機構については、現在なお多くの不明な点が残されている。一方、カルシウム調節の中心的分子機構として、細胞内カルシウム結合蛋白質が重要視されている。我々は代表的な細胞内カルシウム結合蛋白質であるカルモデュリンに特異的に作用する薬物(カルモデュリン阻害剤)を使用し、薬理学的手法による研究を行ない、その生理機能を解明してきた。しかし、カルモデュリン及び既知のカルシウム結合蛋白質ではカルシウム依存性細胞機能調節の分子機構を十分説明出来ないことが判明してきた。つまり、それらの機構は組織により異なり、それぞれの組織は、特徴あるカルシウム結合蛋白質群によるカルシウム調節機構を構築していることが明かにされつつある。そこで、本研究ではカルシウム依存性機能が注目されている組織である心筋、平滑筋、血小板、脳、肺等から新しいカルシウム結合蛋白質を分離精製し、従来の研究において不足しているカルシウム情報伝達における組織特異性の解明を試みることを目的とした。本年度は、心筋、平滑筋、血小板、脳、肺から種々のカルシウム結合蛋白質の精製を試み各々異なるカルシウム結合蛋白質を得、それぞれの蛋白質に対する抗体を作成し組織分布を調べ興味深い結果を得た。特に心筋から得たカルシウム結合蛋白質CaBPcはEFハンド構造を持つ2量体で、アミノ酸組成、部分アミノ酸配列等から新しいカルシウム結合蛋白質であることが判明した。CaBPcは他のEFハンド構造を持つ蛋白質とは異なり等電点が6.2と高いことや、組織分布が広いことから、カルモデュリンと同様基本的な生理機能に関わっている可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hiroshi,Masuoka: "Effects of Ruthenium Red on Activation of Ca^<2+>ーdependent Cyclic Nucleotide Phosphodiesterase" Biochem,Biophys,Res,Commun.169. 315-322 (1990)
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[Publications] Michiko,Naka: "Modulation of Smooth Muscle Calponin by Protein Kinase C and Calmodulin" Biochem,Biophys,Res,Commun. 171. 933-937 (1990)
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[Publications] 田中 利男: "神経ペプチド受容体と細胞内情報伝達機構" 日本臨床. 48. 945-952 (1990)
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[Publications] 田中 利男(分担): "肥満細胞" メディカルトレビュ- 黒沢元博編集, 9 (1990)
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[Publications] 田中 利男(分担): "カルシウム受容蛋白質" 講談社 日高弘義編集, 12 (1990)