1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454138
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西 勝英 熊本大学, 医学部, 教授 (00040220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 春夫 熊本大学, 医学部, 助教授 (80151158)
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Keywords | 心筋活動電位 / イオンチャネル / 移植心筋 / 発達過程 / Naチャネル / Kチャネル |
Research Abstract |
ラット胎児心筋細胞の活動電位は、その形態が成熟細胞の活動電位と著しく異なっている事が知られている。胎児期には優勢であったカルシウムチャネルにより運ばれる電流系が、成熟にともなって減少し、ナトリウム、カリウム電流が優勢となることより活動電位の形態の変化がおこるもと考えられている。このようなイオンチャネルの発生成熟段階に、どのような因子が関与するかを検討する為に、ラット胎児心筋細胞を同種成熟ラットの腎被膜下に移植し、移植心筋の活動電位の発達段階を詳細に調べ、移植心筋細胞の電気性理学的な特性について通常微細電極法を用いて、心筋細胞活動電位の経時的な変化と正常発達心筋細胞の活動電位との比較検討をおこなった。さらに、交感神経再支配との関係について解析を行った。 ラット胎児心筋を細切し,細切片を成熟ラット腎被膜下に移植した。移植後1〜10週目に、移植心筋組織を腎被膜より摘出し,37℃のタイロ-ド氏液にて表面潅流を行い、静止膜電位を記録した。移植後1〜4週間目までの初期では,移植心筋細胞の活動電位の持続時間は,50〜100msecであり,成熟ラット心筋の活動電位より延長していた。移週後2〜4週間で,活動電位持続時間は,次第に短縮し,4〜6週間後には成熟心筋細胞の活動電位と同じ形態を示すようになった。この時期に一致して,腎被膜下心筋組織には交感神経系の神経の再神経支配が観察された。 以上の結果は,心筋細胞の発達段階において活動電位の持続時間を短縮させる因子として重様な役割をもつKチャネルの発現の調節機構に交感神経の支示関与していることを示唆しており、神経支配とイオンチャネル形成との間に連関が有る事を示すものである。
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