1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454138
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西 勝英 熊本大学, 医学部, 教授 (00040220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 春夫 熊本大学, 医学部, 助教授 (80151158)
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Keywords | 心筋活動電位 / イオンチャネル / マウス胎児心筋 / Cーkitプロトオンコジ-ン / リセプタ-・チロシンキナ-ゼ / 腸管ペ-スメ-カ-機構 / 心筋ペ-スメ-カ- / カハ-ル細胞 |
Research Abstract |
心筋イオンチャネルの分化発達の研究過程で、マウス胎児および新生〓の心電図および心房筋自発活動の発現について研究中、プロトオンコジ-ンであるCーkitの発現が異常である遺伝子欠損ミュ-タントマウスw/w^vに心拍の異常を発見した。この問題を解決するために、Cーkitの発現により生ずるCーkitチロシンキナ-ゼリセプタ-に対する抗体ACKー2をBALB/cマウス新生1日目より投与すると、心臓ペ-スメ-カ-の異常が観察された。現在、ACKー2投与と心筋イオンチャネルの発達分化について、剖養心筋を用いて研究中である。 一方、本研究中、ACKー2抗体処置BALB/cマウスでは、生後9〜12日で著しい腸管の麻痺性拡張が発現することを発見した。ACKー2処置マウスの腸管の運動機能の発達について検討した所、ACKー2処置により、小腸の自動運動の発現に異常が認められた。組織学的検索では、腸管神経叢には、異常が認められず、一方、ACKー2抗体と特異的免疫返応を示す細胞(ACKー2(+))が、小腸回盲部では、小腸粘膜下、輪状筋内側部に点在することが判明した。ACKー2処置で、この細胞の免疫組織学的反応は、減弱しており、このことより、ACKー2処置によって生じた腸管の自動能発現の異常には、チロシンキナ-ゼを介する細胞内情報伝達系の発現の異常によってもたらされたものであると推論している。従来、腸管の自動能の発現機序については、異説があり、明確にされておらず、腸管自動能のペ-スメ-カ-機構として、カハ-ル細胞が関与しているとする研究があるが、本研究は、規則正しい自動運動を発現する組織においては、Cーkit遺伝子を有し、チロシンキナ-ゼリセプタ-を発現し、この活性化による反応系を介する「イオンチャネル」の発現が、重要であることを示唆しており、心筋イオンチャネルの分化発達とも重要な関連を有する基礎的な知見を得ている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Nishi,J.Muramoto,H.Araki: "Developmental changes in action potential of rat myocardium transplanted into the renal capsular space" Japanese Journal of Physiology.
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[Publications] H.Maeda,A.Yamagata,S.Nishikawa,S.Kobayashi,K.Nishi: "Reguirement of Cーkit for development of intestinal pacemaker system" Nature.