1991 Fiscal Year Annual Research Report
難治性炎症性疾患にかかわる高分子蛋白の分子病理学的研究ー膠原病モデルマウスにおける責任蛋白の同定と遺伝子発現の解析ー
Project/Area Number |
02454166
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
能勢 眞人 東北大学, 医学部, 助教授 (70030913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 徳男 東北大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (30192412)
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Keywords | 膠原病 / 自己免疫病 / 糸球体腎炎 / 腎炎惹起性単ク-ロン抗体 / IgG3塩基配列 / SCIDマウス |
Research Abstract |
本研究の目的は膠原病疾患群を自然発症するMRL/1prマウスをモデルとして、その責任蛋白の同定とその遺伝子発現動態を解析することにある。初年度には、膠原病疾患群を個別に発症するMRL/1prハイブリッドマウスの解析から、腎炎固有の背景遺伝子の存在をつきとめ、かつ少なくとも腎炎の発症に1gG3産生が正の相関を示したこと、そしてMRL/1prマウスから得たIgG3産生ハイブリド-マの一部が正常マウスに対して腎炎惹起能を有していたことから、責任蛋白としてIgG3を同定した。本年度は、これらの単ク-ロン性腎炎惹起性IgG3抗体の病理学的特性と責任構造の解析を試み、以下の結果を得た。1.これらのク-ロン中、正常マウスのみならずSCIDマウスに対し、管内増殖型糸球体腎炎、wire loop型糸球体腎炎を誘導する2種類のク-ロンが存在した。これらの病像はMRL/1prマウスの糸球体病変を部分的に再現するもので、ル-プス腎炎の病像の多様性は特定の抗体産生細胞ク-ロンの増殖の組み合わせに規定されるものと結論された。2.これらの抗体はいずれもクリオグロブリン活性を有しこの活性が腎炎惹起能に必須であると考えられたが、この抗体のアスパラギン結合糖鎖構造の変換によりクリオグロブリン活性が低下することを見い出し、抗体の腎炎惹起能に糖鎖構造が関与することが明らかとなった。3.これらの抗体遺伝子のcDNAの塩基配列の解析から、抗体の腎炎惹起能は可変領域にあることが明らかとなった。4.可変領域の遺伝子セグメント、V_HーDーJ_H、V_LーJ_Lの塩基配列の比較から、管内増殖型を誘導するク-ロンとwire loop型を誘導するク-ロンは互いに異なったB細胞系列に由来するもので、かつ、それぞれ異なったV_H胚遺伝子を使用していることが判明した。それ故、MRL/1prマウスの腎炎は、複数のV_H胚遺伝子に由来する腎炎惹起性遺伝子の発現が特定の背景遺伝子下に引き出される結果生じるものと考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Itoh,J.,et al.: "Pathogenic significance of serum components in the development of autoimmune polyarthritis in MRL/Mp mice bearing the lymphoproliferation gene" Am.J.,Pathol.139. 511-521 (1991)
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[Publications] Takahashi,S.,et al.: "IgG3 production in MRL/1pr mice is responsible for development of lupus nephritis" J.Immunol.147. 515-519 (1991)
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[Publications] Itoh,J.,et al.: "Expression of decayーaccelerating factor(DAF) is reduced on hyperplastic synovial lining cells in rheumatoid synovitis" Clin.exp.Immunol.83. 364-368 (1991)
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[Publications] Kanno,H.,et al.: "Spontaneous development of pancreatitis in the MRL/Mp strain of mice in autoimmune mechanism" Clin.exp.Immunol.
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[Publications] Takahashi,S.,et al.: "Cloning and cDNA sequence analysis of nephritogenic IgG3 monoclonal antibodies derived from an MRL/1pr lupus mouse" J.Immunol.
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[Publications] Itoh,J.,et al.: "Pathogenetic variation of antibodes at the development of glomerulonephritis in MRL/1pr lupus mice:Analysis of the normal mice injected with the nephritogenic antibodyーproducing hybridomas" Am.J.Pathol.
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[Publications] 能勢 真人,他(分担): "新生化学実験講座(第12巻)分子免疫学II" 東京化学同人, 400 (1991)
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[Publications] 能勢 真人,(分担): "新生化学実験講座(第12巻)分子免疫学III" 東京化学同人, 303 (1991)