1992 Fiscal Year Annual Research Report
狂犬病ウイルス街上毒感染による細胞性免疫抑制機序の解析
Project/Area Number |
02454183
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Research Institution | Oita Medical University |
Principal Investigator |
三舟 求真人 大分医科大学, 医学部, 教授 (70039915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
七条 明久 大分医科大学, 医学部, 助教授 (90039917)
万年 和明 大分医科大学, 医学部, 助教授 (20145361)
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Keywords | 狂犬病ウイルス / 細胞性免疫 / 免疫抑制 |
Research Abstract |
今年度は(1)T細胞によるIL-2産生能低下が、一連の細胞性免疫低下の引き金だとする仮説をマウスで検証する。(2)引き続きIL-2産生インヒビター様物質について研究を進めることを目標として実験を行い、以下のような知見を得た。 (1)ヒトrIL-2を一日あたり5万単位あるいは3、5万単位をウイルス感染と同時に、あるいは2日前から連続4日間(総計14-20万単位)マウスに投与すると、それらのマウスの死亡率は著しく低下する(100%から20%に)と同時に、感染から死亡するまでの平均死亡日数も延長する。 (2)IL-2投与の感染防御能は用量依存的で、投与量を減少すると死亡率は次第に上昇する。 (3)ウイルス感染2日以降にIL-2の投与を開始しても無効である。 (4)これらのマウスには細胞性免疫の著しい低下は認められなく、その応答はほぼ正常である。 (5)IL-2産生インヒビター様物質は、感染マウス脾細胞のCD8細胞が産生していることが示唆された。 以上の所見は、T細胞によるIL-2産生低下が、一連の細胞性免疫抑制の低下の引き金になっているのではないかという我々の仮説を支持するものであり、インヒビター様物質の産生も、大量のIL-2投与によって減弱される可能性を示唆するものと考えられた。この知見は将来、狂犬病の治療に大きく資するものである。なお、インヒビター様物質の性状については、感染マウス脾細胞数の極端な減少のため充分な試料の確保が遅れており引き続いた検討が必要である。
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[Publications] Hirai,K.,Kawano,H.,Mifune,K.et al: "Suppression of cell-mediated immunity by street rabies virus infection" Microbiology and Immunology. 36(12). 1277-1290 (1992)