1991 Fiscal Year Annual Research Report
仮説:レセプタ-結合領域の分子変異の蓄積がヒトウイルスの出現と消失を支配する
Project/Area Number |
02454184
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Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
武田 直和 国立予防衛生研究所, ウイルス中央検査部, 主任研究官 (90132894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 修道 国立予防衛生研究所, 副所長 (20072902)
宮村 紀久子 国立予防衛生研究所, ウイルス中央検査部, 室長 (40072897)
谷村 雅子 国立小児病院, 小児生態部, 主任研究官 (90014191)
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Keywords | ピコルナウイルス / エンテロウイルス70 / コクサッキ-ウイルスA24変異株 / 分子進化 / 分子系統樹 / 塩基配列 / 塩基置換 |
Research Abstract |
本年度は約10年間に集められたエンテロウイルス70(EV70)分離株18株のVP1領域の塩基配列に基づいて作成された分子系統樹を用い、各分離株が獲得したであろう塩基置換を詳細に解析した。またEV70で算出された塩基置換速度を議論する上で、他のエンテロウイルスのそれと比較することが必要であるとの考えから、もう一つの急性出血性結膜炎の病因ウイルスである、コクサッキ-ウイルスA24型変異株(CA24v)の分離株を用い解析を進めた。 EV70分子系統樹の各枝に各分離株が伴ってきたであろう塩基置換を重ね合わせてみた。比較した18株のVP1領域918座位のうち181座位に少なくとも1回の塩基置換が認められ、18株が10年間に蓄積した総数は計267置換であった。181座位はVP1領域全域にほぼ均等に分布していた。アミノ酸置換は306座位のうち28座位にみられた。復帰置換が最小になるようにして平行置換(異った枝上で、即ち異った分離株間で同一座位におこる変異)をみると、同義置換153座位のうち40座位に、非同義置換28座位のうち12座位にこの変異が認められた。この結果は、2つの分離株の比較で観察される塩基置換から計算される塩基置換速度は、実際の置換速度より遅いことを意味している。このことを確認する目的で約20年にわたって集められた(A24v分離株44株を用い、その3Cプロテア-ゼ領域549塩基の配列を解読した。EV70では変異の90%はトランジション型の変異であったが、復帰置換、平行置換も考慮し置換速度を求めた。補正後のEV70 VP1の置換速度は5.0×10^<ー3>/座位/年、CA24v 3Cのそれは4.9×10^<ー3>/座位/年と計算され、異なるウイルス及び遺伝子領域間の比較であるにも拘わらず、極めて類似の値となった。今後はアミノ酸変異に解析の中心を移し、EV70のレセプタ-結合領域の解析を進めていきたい。
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[Publications] Hiroaki Ishiko: "Phylogenetic Analysis of a Coxsackievirus A24 Variant:The Most Recent Worldwide Pandemic was Caused by Progenies of a Virus Prevarent Around 1981" Virology. 187. (1992)
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[Publications] Hiroaki Ishiko: "Phylogenetically Different Strains of a Variant of Coxsackierirus A24 were Pepeatedly Introduced but Discontinucd in Japan" Arch.Virol. (1992)
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[Publications] Naokazu Takeda: "Extremely High Transitional Nucleotide Substitution Rate and Greatly Restricted Amino Acid Changes in a Majov.Capsid Protein VP1 of EV70 during Ten Years Evolution in Natue" J.Virol.