1992 Fiscal Year Annual Research Report
仮説;レセプター結合領域の分子変異の蓄積がヒトウィルスの出現と消失を支配する
Project/Area Number |
02454184
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Research Institution | National Institute of Health |
Principal Investigator |
武田 直和 国立予防衛生研究所, 感染症疫学部, 室長 (90132894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 修道 国立予防衛生研究所, 副所長 (20072902)
宮村 紀久子 国立予防衛生研究所, 感染症疫学部, 室長 (40072897)
谷村 雅子 国立小児病院, 小児生態部, 主任研究官 (90014191)
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Keywords | ピコルナウイルス / エンテロウイルス70 / レセプター |
Research Abstract |
本年度はエンテロウイルス70(EV70)レセプター遺伝子のクローニングと同定において大いなる進展がみられた。これはEV70感受性細胞表面に強く結合し、ウイルス感染阻止能が際立ったモノクローン抗体(mAb)の作出に成功したことが大きな要因であると考えられる。本mAbはHeLa細胞を免疫することで得られたものであるが、EV70感染阻止能において変のエンテロウイルスと競合することはなくEV70に特異的であった。 HeLa細胞から抽出精製したmRNAを鋳型にcDNAを合成し、真核細胞発現ベクターpCDM8のcDNAライブラリーを作製した。一部をサル腎臓由来COS-7細胞にトランスフェクトして48〜72時間増養後、レセプター発現細胞をパンニング法で回収した。パンニングには上記mAbを用いた。回収したCOS-7細胞からHirt法によってプラスミドを抽出し、大腸菌MC1061/P3を形質転換後、プラスミドを増幅・回収した。トランスフェクション、パンニング、形質転換を5サイクル繰り返してレセプター発現COS-7細胞の濃度を高くしていった結果、EV70に対するレセプターを発現していると思われるクローンが1ケ得られた。FACS及びFAで発現量を確認するとともに塩基配列を一部解読した。 本レセプターは細胞表面上にあって補体の活性発現を制御する蛋白と同じ塩基配列をもっていた。既に明らかとなっているポリオウイルスのレセプター、あるいはライノウイルスレセプター(ICAM)と同様免疫グロブリン様ドメインをもち、カルボキシル末端にはトランスメンブレン領域を形成すると思われる約20ケの疎水性アミノ酸配列がみられた。現在欠失変異ベクターを構築しレセプター分子の機能構造を同定するとともに、安定な形質転換細胞の作出が進行中である。
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[Publications] Hiroaki Ishiko: "Phylogenetic Analysis of a Coxsackievirus A24 Variant:The Most Recent Worldwide Pandemic in as Caused by Progenies of a Virus Prevalent Around 1981" Virology. 187. 748-759 (1992)
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[Publications] Hiroaki Ishiko: "Phylogenetically Different Sfrains of a Variant of Coxsackievirus A24 were Repeatedly Introduced but Discontinned in Japan" Archines of Virology. 126. 179-193 (1992)
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[Publications] 武田 直和: "急性出血性結膜炎をおこす2つのエンテロウイルスの分子進化ー RF-PCR法によるゲノム解析と分子疫学" 日本臨床 1992年特別号 感染症 遺伝子診断と分子疫学. 642. 267-273 (1992)