1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454193
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西川 伸一 熊本大学, 医学部, 教授 (60127115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 眞一 熊本大学, 医学部, 助手 (50208617)
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Keywords | B細胞 / 造血幹細胞 / エレ-ヌ / ストロマ細胞 / cーkit / 免疫グロブリン / scidマウス / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
本年度はB細胞初期分化における増殖要求性の変化がどの様なシグナルのもとに調節されているのかについて重点的に研究した。これまで、この分化の調節が骨髄微小環境が産生する分子によって行われるとする考え方と、分化過程で発現してくる免疫グロブリン遺伝子の発現そのものが分化調節のシグナルとなっているとする考えが対立していたため、この点を明らかにする事に重点をおいた実験系を考案した。即ち、免疫グロブリン遺伝子の再構成がうまく進まない突然変異マウスscid、機能的再構成を済ませたH鎖遺伝子を導入したトランスジェニックマウス、及び機能的L鎖遺伝子を導入したトランスジェニックマウスについて、増殖要求性の異なる各分化段階のB系細胞の頻度を測定し、増殖要求性の変化が確かに免疫グロブリン遺伝子の発現に密接に関係して進んで行くことを明らかにした。この結果、B細胞初期分化の過程では、その増殖に関してはストロマ細胞が発現する諸分子によって調節されているが、その分化は免疫グロブリン遺伝子の発現が引金となって調節されているとする新しいモデルを提唱した。一方、ストロマ細胞による増殖調節に関わる分子についてはこれまで我々が明らかにしたILー7以外に、cーkitとそのリガンドが何等かの役割を果たしているとする結果が得られた。この研究の発展には、やはり本年度の研究の結果得られたcーkit分子に対するモノクロ-ナル抗体を作成できたことが大きく寄与しているが、今後この抗体を更に活用して、cーkit分子が、どの段階のB細胞に発現されているのか、また実際に骨髄内でB細胞増殖に関わるレセプタ-として働いているのか等に焦点を当てて、研究を続けて行きたいと考えている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 江良 択実: "Differentiation of growth signal requirement of B cell precursor is directed by expression of immunoglobulin." The EMBO J.10. 337-342 (1991)
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[Publications] 山田 源: "Specific depletion of the B cell popuolation induced by aberrant expression of human IRFー1(interferon regulatory factorー1) gene in transgenic mice." Proc.Natl.Acad.Sci.USA.88. 532-536 (1991)
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[Publications] 鍔田 武志: "Molecular and cellular aspects of early Bーcell development." Current Opinion in Immunol.3/2. IN PRESS (1991)
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[Publications] 国貞 隆弘: "ILー7 and B lymphopoiesis" Prog.Allergy. IN PRESS (1991)
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[Publications] 林 眞一: "Stepwise progression of B lineage differentiation supported by interleukin 7 and other stromal cell molecules." J.Exp.Med.171. 1683-1695 (1990)
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[Publications] 吉田 尚弘: "The murine mutation osteopetrosis is in the coding region of the macrophage colony stimulating factor gene." Nature. 345. 441-442 (1990)