1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454201
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 美惠子 京都大学, 医学部, 助教授 (60025658)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 克彦 京都大学, 医学部, 助手 (10200883)
石川 正恒 京都大学, 医学部, 助教授 (20115786)
糸川 嘉則 京都大学, 医学部, 教授 (80025593)
|
Keywords | 微量元素 / 微量元素必要量 / 微量元素中毒量 / 微量元素相互作用 / メタロチオネン定量法 / 経管栄養用微量元素製剤 / セレン定量法 / 錫定量法 |
Research Abstract |
近年、一般人にも微量元素欠乏の可能性がクロ-ズアップされてきているが、生体内に極微量しか存在しない微量元素は測定が困難であり、また、わが国では微量元素混入防止の研究用設備が少なく、その必須性の証明、生理作用の解明の研究が遅れている。本研究は微量元素(亜鉛、銅、マンガン)や超微量元素(セレン、錫、ゲルマニウム)の必要量と少し過剰になると害をもたらすので、その中毒量、並びにこれまで知られていない生理作用も併せて明かとし、微量元素の過不足、アンバランスを原因とした疾病予防に奇与することを目的として昨年度の微量元素の必要量の推定、測定法の開発、微量元素の相互作用などの研究に引き続き以下のような研究を行った。 (1)メタロチオネンなど低分子化合物と結合した微量元素の生理的役割を明かにするため、まず、高速液体クロマトグラフを用いたメタロチオネンの高感度で簡単な分離・定量法を開発した。 (2)動物(ラット)を微量元素欠乏または過剰飼料にて飼育し、体重、一般的成育状況、血圧など生理学的状態を観察し、一定期間飼育後、血液、尿及び各種組織中ミネラル濃度並びに血清生化学検査、組織学的検査を行い、これら微量元素の適量または必要量や中毒量、及び生体内の各種ミネラルの相互作用などについて検討した。その内容はa)鉄欠乏による他の生体内ミネラル栄養状態の変化と相互作用、b)銅欠乏による貧血、鉄ー銅の強い相互作用、c)セレンの必要量と中毒量の推定、母体と胎児におけるセレン栄養状態の特質、タンパク質欠乏によるセレン欠乏症の増悪化、d)錫の必須性の証明と他のミネラル栄養との相互作用、e)2世代にわたるマンガン欠乏飼料による飼育によるマンガン欠乏ラットの作成、マンガンと他の微量元素の相互作用、f)ゲルマニウム過剰摂取による障害のメカニズムとして血漿中カリウム濃度の低下、脂質系指標の悪化、などである。 (3)輸液管理下における微量元素(亜鉛、鉄、銅、マンガン、ヨウ素)欠乏症発症について検討、ヒト経管栄養用微量元素製剤開発の基礎を構築した。 (4)リンパ球などを用いる微量元素栄養状態の新しい栄養評価方法を開発した。 (5)日本人、タイ人など健康者、種々の疾患をもつ患者または老齢者(日本人農村、漁村、その他の地域住民または入院患者、及びタイ国農村住民など)の血液中微量元素及びその他のミネラル濃度を測定、また、食事調査から微量元素摂取量を算出し、微量元素栄養状態と老化や各種疾患との関係を明かにした。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 木村 美恵子,松本 晶博,高岡 篤,原田 夏樹,中川 吾一,翠川 裕,糸川 嘉則: "タイ東北地区住民の血中無機質レベル" 微量栄養素研究. 3. 185-194 (1986)
-
[Publications] M.Kimura,S.Nakagawa,M.Matsumoto,N.Saito,Y.Itokawa: "Correlation between blood masnesium and blood calcium,iron or thiamin levelsーA surver study in Thailandー" Magnesium Res.2. 117-118 (1989)
-
[Publications] A.Matsuda,Mikimura,K.Kataoka,S.Ohkuma,M.Sato,Y.Itokawa: "Quantifying manganese in lymphocytes to ass ess mangaese mutritional status" Clin Chem. 35. 1939-1941 (1989)
-
[Publications] 加畑 寿明,松田 晃彦,桜井 克彦,木村 美恵子,糸川 嘉則: "マンガン投与量、投与経路の違いによるラット胎内マンガン濃度" 日本衛生学雑誌. 44. 667-672 (1989)
-
[Publications] Z.Zhu;Mikimura;Y.Itokawa: "Effect of selenuimーprotein deficiency on selenium and glutathione peroxidase in rats." Bio.Tra.Elem.Res.(1992)
-
[Publications] 木村 美恵子,関根 健二,糸川 嘉則: "生体試料中セレニウムの水素化物加熱原子化による高感度定量法" Biomed.Res.Trace Elemets. 2. 89-90 (1992)
-
[Publications] M.Kimura,K.Nagao,Y.Itokawa: "Food babits and magnesium Wtake of Japanese “Magnesium,Heath and pisease"" by Y.Itokawa &,J.Durlach John Libbey, (1989)
-
[Publications] 木村 美恵子,桜井 弘,田中 彦編集: "カルシウム生体微量元素" 広川書店, (1992)