1990 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質に対する生体反応の増悪因子、ことに蛋白摂取不足について
Project/Area Number |
02454204
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
野見山 一生 自治医科大学, 医学部, 教授 (80048967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中世古 博幸 自治医科大学, 医学部, 助手 (60221446)
野見山 紘子 自治医科大学, 医学部, 講師 (70049039)
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Keywords | 低蛋白食 / カドミウム / ベンゼン / 毒性増悪 / 腎毒性 / 造血毒性 |
Research Abstract |
1)蛋白摂取不足のカドミウム毒性に及ぼす影響:[実験計画]6週齢の雄ラット61匹を8群に分け、20(要求濃度)、15、10、7%(低蛋白症の起るより少し高い濃度)の蛋白と0、300μg/gのカドミウムを含む固形飼料を一日に15g、12週間、投与した。経時的に体重、尿検査を行なうとともに、12週目には屠殺し、血液、尿、臓器を用いて、生体影響指標について測定した。[実験結果](1)蛋白15%群では尿中GPT濃度が上昇した。(2)蛋白10%群では、腎重量の増加、血漿セルロプラスミンの著明な低下がみられた。(3)7%群では、体重の著明な減少が見られた。[考察]カドミウムの毒性は、蛋白レベルが低いほど、強かった。従って、カドミウム汚染地域住民やカドミウム作業者に対し、蛋白摂取が少なくならないよう生活指導することが必要と考えられた。[結論]カドミウムの毒性は、7%群では著しく、10%群では強く、15%群ではやヽ増強した。 2)蛋白摂取不足のベンゼン毒性に及ぼす影響:[実験方法]蛋白を20%、15%、10%、7%の割合で含む固形飼料を毎日15g投与したラットを0、100、400ppmのベンゼンに一日に7時間、週6日の割合で12週間曝露したのち、60項目の生体指標を測定した。[実験結果]1)体重:100ppmベンゼン曝露で上昇したのち、400ppm曝露で蛋白10と7%群は低下した。2)腎重量:400ppmベンゼン曝露による増加は蛋白レベルの少ないほど著しかった。 3)造血(赤血球)系:ベンゼン曝露による貧血は15%群が最も著しかった。網状赤血球数は軽度に減少したが、蛋白レベルの低いほど少なかった。脾重量はベンゼン曝露によって量ー影響関係のある減少をしたが、蛋白レベルの低いほどその減少が著しかった。4)造血(白血球)系:ベンゼン曝露により白血球数は量ー影響関係のある減少をしたが、蛋白レベルによる違いはなかった。ベンゼン曝露によりリンパ球、胸腺重量が減少したが、蛋白レベルによる違いは認められなかった。「結論」蛋白摂取75%以下でベンゼンの健康影響は増強し、50%以下で著明に増強した。
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[Publications] 野見山 一生ら: "ベンゼン毒性増強因子としての低蛋白食:量、影響関係" 日本衛生学雑誌. 46. (1991)
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[Publications] 野見山 一生,ら: "トリクロルエチレン毒性増強因子としての低蛋白食:量ー影響関係" 日本衛生学雑誌. 46. (1991)
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[Publications] Kazuo Nomiyama et al: "Lowーprotein diet,a factor deteriorating chronic cadmium health effects,<in>___ー;Edited Proceedings Sixth International Cadmium Conference Paris(S.A.Hiscock and R.A.Volpe eds.)" Cadmium Association,London, 110-116 (1990)