1991 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質に対する生体反応の増悪因子,ことに蛋白摂取不足について
Project/Area Number |
02454204
|
Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
野見山 一生 自治医科大学, 医学部, 教授 (80048967)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 学 自治医科大学, 医学部, 助手 (50238333)
野見山 紘子 自治医科大学, 医学部, 講師 (70049039)
|
Keywords | 低蛋白食 / ベンゼン / トリクロルエチレン / 鉛 / 水銀 / 毒性増強 / 感受性 / 造血毒性 |
Research Abstract |
同じように化学物質の曝露を受けても健康を障害し易い人達がいる。こうした高感受性をもたらす因子について検討し、高感受性を制御し健康影響を防止することも必要である。そこで、今年度は、蛋白摂取不足による鉛毒性、水銀毒性の増強とin vitro研究による蛋白摂取不足による有機溶剤毒性の増強について検討した。1)骨随細胞を用いた蛋白摂取不足のベンゼン、トリクロルエチレン毒性に及ぼす影響の検討:蛋白を20または6%含む飼料で3週間飼育したラットの骨随細胞をベンゼンまたはトリクロルエチレンを加えた培養液で培養し、蛋白摂取不足によるベンゼン、トリクロルエチレンの造血毒性の増強を検討した。蛋白レベルが著しく低下するとベンゼンの骨随毒性が強く発現する可能性が十分あると考えられた。トレクロロエチレンはベンゼンとは骨随に対する作用機序が違うようであるが、蛋白摂取不足により骨随毒性が高まる可能性があると考えられた。2)蛋白摂取不足の鉛毒性に及ぼす影響:20、15、10または6%の蛋白を含む飼料を与えているウサギ31羽に0または1mgpb/kgの鉛を週3回、12週間静脈内投与しながら経時的に鉛による生体影響を測定した。蛋白摂取レベルが低くなるほど鉛による体重増加抑制、脂質代謝、血色代謝の異常が強くなった。ことに、造血機能に対する影響は蛋白摂取レベルが低いほど早期にしかも強く発現しており、鉛毒性の蛋白摂取レベル臨界値は見いだせなかった。3)蛋白摂取不足の水銀毒性に及ぼす影響:20、15、10または6%の蛋白を含む飼料を与えているウサギ29羽に0または1mgHg/kgの水銀を週3回、18週間皮下投与しながら経時的に水銀による生体影響を測定した。蛋白摂取レベルが低いほど、水銀曝露により腎機能異常、脂質代謝異常が強く起こったが、水銀毒性の蛋白摂取レベル臨界値は見いだせなかった。
|
-
[Publications] Nomiyama,K,and Nomiyama,H.: "Low protein diet,a factor deteriorating chronic cadmium health effects" Cadmium 89(Eds.Hiscock,S.S.and Volue,R.A.),Cadmium Association.110-116 (1990)
-
[Publications] Nomiyama,K.and Nomiyama,H.: "Low protein diet,a factor deteriorating chronic toxitinf of chemicals" 23rd Int.Congress on Occupational Health (Abstrast). 390 (1990)
-
[Publications] 野見山 一生,野見山 紘子,小池 宏明,山崎 理: "ベンゼン毒性増因子としての低蛋白食:量・影響関係" 日本衛生学雑誌. 46. 199 (1991)
-
[Publications] 野見山 一生,野見山 紘子,劉 揚,山崎 理,小池 宏明: "トリクロエチレン毒性増強因子としての低蛋白食:量一影響関係" 日本衛生学雑誌. 46. 204 (1991)
-
[Publications] 野見山 一生,野見山 紘子,国井 修: "水銀の臨界濃度修飾因子としての低蛋白食" 日本衛生学雑誌. 46. 221 (1991)
-
[Publications] 野見山 一生,野見山 紘子,劉 揚,平井 学: "蛋白摂取レベルと鉛毒性" 日本衛生学雑誌. 47. (1992)