1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454207
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
田中 勇武 産業医科大学, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保利 一 産業医科大学, 医学部, 助教授
東 敏昭 産業医科大学, 医学部, 助教授
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Keywords | 人造鉱物繊維 / ガラス繊維粒子 / 肺内沈着量 / 吸入曝露実験 |
Research Abstract |
ウィスタ-系雌ラット45匹に、濃度9.8±3.0mg/m^3雄同様4週間のガラス繊維(GF:GB100R、東洋濾紙製)曝露を行い、最大5.5カ月間のクリアランス期間をおき肺内からのGFの排泄を調べた。また、前年度よりウィスタ-系雄ラット27匹に濃度2.2±0.6mg/m^31年間の曝露を行い、曝露直後及び1年間のクリアランス期間をおいた後に解剖し、肺内のGF量を測定した。 曝露期間中及びクリアランス期間中には亜急性、慢性実験共、体重増加には曝露群と対照群との間に差はみられなかった。また肺、肝、腎、脾臓の各臓器重量も両群の間に差はなかった。 肺内のSi量は、亜急性実験では雌雄とも曝露直後にピ-クに達し、その後クリアランスの間に減少した。半減期は雌雄共に45日であった。これより、肺内に取り込まれたGFは、徐々に肺から排泄されていることが示された。また実験中他の臓器中Si量は対照群と差が認められなかった。 一方慢性実験では、曝露直後に平均1.5mgのGFが沈着しており、1年間のクリアランスをおいた後でもなお平均0.6mg程度残っていた。この結果より半減期は276日となり、亜急性の場合と比較すると非常に長いことがわかった。 以上の結果より、今回実験に用いたGF粒子は生長には大きな影響を及ぼさないことが認められた。また亜急性実験から得られた肺内沈着率は、雄4.5%、雌4.7%という値であり、既往の研究と比較しても妥当な値であり、吸入実験が正確に行われたという傍証ともなった。一方、1年間の慢性実験から、長期曝露では肺からのクリアランスが著しく遅くなるという結果が得られた。この原因として、肺機能の低下、すなわち、排泄機構の障害が生じたためと推測された。しかし、この繊維に発がん性があるという結果は認められなかった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 田中 勇武: "人造鉱物繊維の毒性試験ーin vivoを中心としてー" エアロゾル研究. 6. 34-38 (1991)
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[Publications] 東 敏昭・田中 勇武: "アスベスト及びその他の繊維状エアロゾルの性状と生体影響" 粉体と工業. 23. 54-60 (1991)
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[Publications] Tanaka,I.,Akiyama,T.& Kido,M.: "Lung Burden of a Glass Fiber by Inhalation" Toxicology and Industrial Health. 7. 449-454 (1991)
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[Publications] Tanaka,I.,Haratake,J.,Horie,A.& Yoshimura,T.: "Cumulative Toxicity Potential of Hardwood Dust and Sidestream Tobacco Smoke in Rats by Repeated Inhalation" Inhalation Toxicology. 3. 101-112 (1991)
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[Publications] Yokozaki,Y.,Morimoto,Y.,Yamato,H.,Kido,M.,Tanaka,I.& Akiyama,T.: "Cellular Changes Induced in Rat Lung by Inhalation Cermic Fibres" Toxicology and Industrial Health. 7. 479-483 (1991)
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[Publications] Tao,Y.,Sugiura,T.,Nakamura,H.,Kido,M.,Tanaka,I.& Kuroiwa,A.: "Experimental Lung Injury Induced by Trimellite Anhydride Inhalation on Guinea Pigs" Int.Archives of Allergy and Applied Immunology. 96. 119-127 (1991)
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[Publications] Tanaka,I.& Akiyama,T.: "International Symposium on Pneumoconioses" Ed.Li,Y.et al.,S.W.Albers Vertag, 419 (1990)
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[Publications] Tanaka,I.& Akiyama,T.: "Aerosol,Science,Industry,Health and Environment Vol.2" Ed.Masuda,S.,Pergamon press, 1348 (1990)