1991 Fiscal Year Annual Research Report
人体カドミウムおよび鉛負荷を指標とした環境汚染の経年変化
Project/Area Number |
02454212
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 正之 京都大学, 医学部, 教授 (00025579)
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Keywords | カドミウム / 鉛 / 環境汚染 / 経年変化 / 血中濃度 / 一日摂取量 / 食事検体 / 農村 |
Research Abstract |
各地域ごとに被検者20名についてその静脈血検体および陰膳方式による24時間食事検体を収集し、それぞれを鉛・カドミウム分析用検体とした。検体収集は仙台市秋保地区・同南光台地区・岩手県大迫町地区・山口県徳地町地区・沖縄本島沖縄市美里地区・沖縄県宮古島地区・宮城県河南町地区・宮城県桃生町地区について完了し、前3地区については血中鉛およびカドミウム分析ならびに食物中カドミウム分析を終了した。秋保地区および南光台地区の血中鉛および血中カドミウム濃度について1980年と1991年の測定値の比較をしたところ、幾何平均値は血中鉛、血中カドミウムのいずれについても一般に1980年代に比して1991年の値は低値である傾向が明らかで、秋保地区の女子を例にとると血中鉛濃度は35.0μg/1から23.5μg/1に、血中カドミウム濃度は3.15μg/1から2.76μg/1に低下していた。但し例数が限られているため、推計学的には必ずしも有意の差ではない。食物からのカドミウム摂取量についても1980年代の調査結果があるのでこれと比較すると、秋保地区では男子は37.8μg/日から20.1μg/日、女子は27.4μg/日から15.3μg/日と摂取量が小さくなっている。また大迫町の場合も1976ー7年と1989年を比較すると、男子では28.2μg/日から21.6μg/日,女子が23.2μg/日から15.7μg/日といずれも同じ程度の減少を示した。但し、南光台地区は21.5μg/日と23.2μg/日と大差は示さない。現在までに終了した調査の規模はまだ全国的な変化を推定するには十分な大きさではないが(1)血液中の鉛、カドミウム濃度は1991年では1980年代に比較して低下している。(2)食物からのカドミウム摂取量も1980年代に比較して1991年では低下していることを示す成績を得た。その要因の一つとしては米飯からのカドミウム摂取量が低下していることで、米飯の摂取量そのものの減少と米飯中のカドミウム濃度の低下によるものと推測される。
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Research Products
(1 results)