1991 Fiscal Year Annual Research Report
分子免疫学的アプロ-チによる胎児性ヘモグロビンの法医学的ならびに臨床医学的研究
Project/Area Number |
02454216
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
吉岡 尚文 秋田大学, 医学部, 教授 (80108935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
設楽 芳宏 秋田大学, 医学部, 助手 (40187357)
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Keywords | 成人ヘモグロビン / 胎児ヘモグロビン / 合成ペプタイド / 抗原部位 / エピト-プ |
Research Abstract |
前年度に引き続き,ペプタイド合成を行い,合成されたものから順次樹脂からの離脱,精製を行った。最終的なチェックはアミノ酸分析機により,予定の配列になっていることを確認した。ペプタイドにはγ鎖N末端側よりPep-1,Pep-2……Pep-10の符号を付し,各種抗体との反応性により,抗原決定部位の推察を行った。方法はプレ-トを用いるELISA法と,ニトロセルロ-ス膜を用いるDot ELISA法によった。使用した抗体(抗血清)は,自家製の家兎抗HbAおよび抗HbF血清,市販のモノクロナ-ル抗HbA,抗Hbα鎖および抗Hbβ鎖の計5種である。96穴プレ-トを用いるELISA法では,ペプタイドのプレ-トへの固着が不完全であったため,結果の再現性は得られなかった。Dot ELISA法は5mg/ml濃度のペプタイド溶液5ulを膜にスポットし,ブロッキングは2%BSAによった。一次抗体とした上記5種の抗体は300〜500倍に希釈して使用した。POD標識二次抗体は1000倍のものを用いた。その結果家兎抗HbF血清とはPep-1,Pep-2,Pep-3,Pep-6およびPep-9に抗原活性が認められた。また,モノクロナ-ル抗α鎖および抗β鎖抗体とは,Pep-5,Pep-9,Pep-10に抗原活性があった。モノクロナ-ル抗HbA抗体とはPep-5とPep-10にのみ活性を認めた。これらの成績からすると,γ鎖分子の抗原活性部位は少くとも3ケ所と考えられる。Pep-1〜Pep-3まで抗HbF血清との間に結合活性があり,これが果して1ヶ所であるのか複数の抗原活性があるのかをHbβ鎖の抗原活性の成績から考察すると,Pep-1の活性はPep-3の活性とは異ることが推察される。また,Pep-6はN末端側6個のアミノ酸のうち5個までがβ鎖と異っており,この点を考慮すると,γ鎖に特異的なエピト-プは61Leu〜80Asp付近であろうと示唆される。この部分を合成して検討する必要がある。
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