1990 Fiscal Year Annual Research Report
モチリンの作用機序及びその受容体の分子生物学的研究
Project/Area Number |
02454227
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
伊藤 漸 群馬大学, 内分泌研究所・比較内分泌部門, 教授 (00008294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小浜 一弘 群馬大学, 医学部・薬理学教室, 教授
近藤 洋一 群馬大学, 内分泌研究所・物理化学部門, 教授
竹内 利行 群馬大学, 内分泌研究所・化学構造部門, 教授 (00109977)
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Keywords | モチリン / 腸管平滑筋 / 腸間神経叢 |
Research Abstract |
モチリンは十二指腸粘膜内分泌細胞から分泌される22個のアミノ酸から成るペプチドホルモンである。その生理作用は、消化・吸収の終了した空腹時に約100分間隔で血中に放出され、先づ胃・上部十二指腸に一連の強収縮をひきおこし、これが順次下部腸管に伝幡してゆき、空腸時中に溜った胃液・腸液を大腸の方に押しやる働きをする。モチリンによる平滑筋収縮は、ウサギ十二指腸平滑筋を用いた潅流実験では、アセチルコリンによる筋収縮と異なり、アトロピンテやテトロドトキシンで抑制されず、直接平滑筋に作用してひきおこされると考えられる。しかし単離筋細胞を用いた培養実験では、アセチルコリンでは筋収縮が観察できるが、モチリンによる筋収縮は確認できていない。我々は、平滑筋膜上にモチリン受容体の存在を想定して、ウサギ平滑筋膜分画を用いて、 ^<125>Iーモチリンの結合実験を行った。ところが、膜の粗分画を用いると、 ^<125>Iーモチリンの結合を認めるが、精製した膜分画を用いると結合が認められないという奇妙な現象に遭遇した。従って現時点ではモチリンの平滑筋収縮が筋膜上の受容体を経由してひきおこされるという結論には至っていない。現在我々はモチリンと筋膜との結合を ^<125>Iーモチリンの比活性を高めたり、13位のMetをLeuに置換して酸化を受けにくくさせたモチリンを用いて実験を繰り返しているが、同時に、モチリンが直接平滑筋に働くのではなく、神経に作用して、アセチルコリン以外の神経伝達物質を介して筋に作用している可能性も考慮して、最近我々が確立した腸管神経叢と周囲平滑筋の初代培養系を用い、モチリンの筋収縮が直接作用によるのか、神経を介した間接作用によるのか検討を開始した。平滑筋の培養は筋収縮を長時間保つのが難しいとされているが、この培養系では少なくとも1ケ月は筋収縮が観察されるので上記問題に対する解答を得る実験に適切な系であると考えている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Satoh,N.Inatomi,H.Satoh,S.Marui,Z.Itoh,S.Ohmura: "EMー523,an Erythromycin Derivative,and Motilin Show Similar Contractile Activity in Isolated rabbit Intestine" The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 254. 940-944 (1990)
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[Publications] N.Yoshida,A.Mizumoto,Y.Iwanaga,Z.Itoh: "Effects of 5ーHydroxytryptamine 3 Receptor Antagonists on Gastrointestinal Motor Activity in Conscious dogs" The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 256. 272-278 (1991)
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[Publications] Z.Itoh,A.Mizumoto,Y.Iwanaga,N.Yoshida,K.Torii,K.Wakabayashi: "Involvement of 5ーHydroxytryptamine 3 Receptors in Regulation of Interdigestive Gastric Contractions by Motilin in the Dog" Gastroenterology. (1991)
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[Publications] Z.Itoh: "Factors regulating gastrointestinal motilityーan overview of current knowledge on gastroprokinetics (in Gastrointestinal Function,Regulation and Disturbances.Vol.8)" Excepta Medica,Ltd,Tokyo, 16 (1990)