1990 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌・胃癌における発癌・転移機構のトランスジェニックマウスによる分子生物学的解明
Project/Area Number |
02454228
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯野 四郎 東京大学, 医学部・附属病院・第一内科, 構師 (30010309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四柳 宏 東京大学, 医学部・附属病院・第一内科, 医員
小池 和彦 東京大学, 医学部・附属病院・第一内科, 医員
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Keywords | トランスジェニックマウス / 胃癌 / アデノウイルス |
Research Abstract |
AdE1遺伝子、E1A遺伝子、E1B遺伝子をそれぞれ保持するトランスジェニックマウスが作製された。E1遺伝子をマウス乳癌ウイルス(MMTV)の制御領域の下に持つトランスジェニックマウスでは、高頻度に胃癌が発生した。その胃病変は、偏平上皮の過形成、腺癌、腺偏平上皮癌と、良性過形成から転移を示す悪性の癌までの広いスペクトラムを持っていた。これらの組織からRNAを抽出しノ-ザンブロットを行ったところ、腫瘍においてE1A、E1B両遺伝子の高レベルの発現が認められ、これらの腫瘍がAdE1遺伝子により引き起こされたことが明らかになった。AdE1遺伝子の発現された正常細胞が生体内において癌化することを示す初めてのデ-タである。EIA,E1B遺伝子をMMTV制御領域の下にそれぞれ単独で持つマウスは2系統と3系統が得られた。低いレベルの各遺伝子の発現が見られたが、デキサメサゾンの腹腔内投与により発現は大幅に上昇した。これらの遺伝子の持続的発現の結果如何なる病理学的所見が生じるかを知るため、デキサメサゾンを週に3回継続投与している。現在までのところ、過形成や癌などの病変は発生していない。MHCクラスI遺伝子はその固有の制御領域の下にトランスジェニックマウスに導入された。肺、肝、腎などの組織で高い発現が認められた。p53マウスは数回の試みにもかかわらず、まだトランスジェニックマウスは得ていない。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] KAZUHIKO KOIKE: "Activation of retrovirus in transgenic mice:association with the development of olfactory neuroblastoma." J Virol. 64. 3988-3991 (1990)
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[Publications] KAZUHIKO KOIKE: "Transgenic mice carrying hepatitis B virus X gene." Hepatology. 12. 421 (1990)
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[Publications] KAZUHIKO KOIKE: "Transgenic mice model for human gastric carcinoma" Proc.Natl Acad Sci O^^ーSA. 86. 5615-5619 (1989)