1991 Fiscal Year Annual Research Report
生理的な胃内環境変化及び病的状態での消化管ホルモンとその遺伝子発現に関する研究
Project/Area Number |
02454234
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
隅井 浩治 広島大学, 医学部附属病院, 講師 (00116609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 正治 広島大学, 医学部, 助手 (20211659)
梶山 梧朗 広島大学, 医学部, 教授 (40034087)
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Keywords | 消化管ホルモン / GRP / ガストリン / ソマトスタチン / H^+K^+ATPase / mRNA / 十二指腸漬瘍 |
Research Abstract |
1.胃内環境の変化によるmRNA変化とペプチドホルモンについて:ラットにproton pump inhibitor(PPI)を投与して胃内pHが上昇した時の消化管ホルモンとそのmRNAについて検討した。PPIにより胃内pHが上昇すると同時にGRP分泌の増加が見られ、遅れてガストリン分泌の増加が見られ、胃内pH上昇による血清ガストリン増加にはGRPが介在していることが推測された。この時粘膜内GRPは12時間まで減少し24ー48時間で前値に復したが、mRNAは有意な変動をしなかった。この時ガストリンmRNAは著しく増加し合成分泌の亢進が推測され、ソマトスタチンmRNAは減少傾向を示した。これらのことからGRPはpH上昇の初期に分泌されてガストリン分泌を刺激し、徐々に合成されてGRP神経内に蓄えられると考えられ、胃内pH上昇によるガストリン分泌機序の一端が解明できたが、これを証明するためボンベシンアンタゴニストを用いた実験を検討中である。 また、PPI投与により胃内pHが上昇するとH^+K^+ーATPase mRNAが増加して新たなH^+K^+ーATPaseが合成されてくる。PPIによるガストリンの増加とソマトスタチンの減少がH^+K^+ーATPase mRNAの増加と関係するか検討した。PPI投与で増加するH^+K^+ーATPaseは同じ酸分泌抑制剤であるH2受容体拮抗剤では増加がなく、PPIとH2受容体拮抗剤を併用するとPPIによる増加が抑制された。このことからH^+K^+ーATPase mRNAの調節にはガストリンが直接関与するのではなくヒスタミンレセプタ-が介在していると推測された。 2.胃生検材料を用いた研究:十二指腸漬瘍、対照者の胃生検材料を用いて器官培養を行い、ボンベシン刺激でガストリン、ソマトスタチン分泌を見た。十二指腸潰瘍ではガストリン分泌が増加し、ソマトスタチン分泌が減少していることが確認された。mRNAレベルでの変化は現在検討中である。
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[Publications] V.Wu,K.Sumii,A.Tari,M.Sumii,J.H.Walsh: "Regulation of rat antral gastuin and somatostatin gene expression during starvation and after refeeding" Gastroenterology. 101. 1552-1558 (1991)
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[Publications] 竹原 侍彦ほか: "オメプラゾ-ル投与下における胃組識内ガストリン・ソマトスタチン・GRPの変化" 消化管ホルモン. 10. 68-73 (1991)
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[Publications] 候 偉 ほか: "十二指腸漬瘍患者前庭部粘膜器官培養によるガストリン・ソマトスタチン分泌" 消化管ホルモン. 10. 255-258 (1991)
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[Publications] 竹原 佳彦ほか: "Omeprazole投与下における内因性GRPの経時的変化" 消化管ホルモン.
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[Publications] 山本 剛荘ほか: "H_2受容体拮抗剤のラット胃体部H^+,K^+ーATPaseの遺伝子発現に与える影響" 消化管ホルモン.