1991 Fiscal Year Annual Research Report
肺血管床傷害の予防と治療のための血小板および白血球の膜受容体の解析
Project/Area Number |
02454239
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川上 義和 北海道大学, 医学部, 教授 (10001877)
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Keywords | 血小板 / 血管内皮細胞 / グルタチオン |
Research Abstract |
肺血管床傷害の研究。 肺血管傷害とその防御機構を観察するために、家兎より肺血管を剥離し蛋白分解酵素を用いて血管内皮細胞を分離し、血管内皮細胞の代謝を検討した。この血管内皮細胞を傷害とする原因となる種々の攻撃因子に対して、細胞内の防御因子を測定した。その結果、血管内皮細胞は赤血球や肝細胞などに比べても高いATP濃度とグルタチオン濃度、さらに高い抗酸化活性を有することが明らかになった。即ち還元型グルタチオンは3.7nmol/mg protein,Cu,ZnーSOD活性は172.9uniカs/mg protein,グルタチオン過酸化酵素とグルタチオン還元酵素は各々179.1munits/mg proteinと4.2munits/mg proteinであった。グルタチオン合成酵素の阻害剤を投与すると血管内皮細胞は過酸化脂質の増大と核DNAの変性を生じることから、細胞内に存在するこれらの酸化的ストレスに対する防御機構の重要性が明かとなった。 血小板の代謝に関する研究。 血小板の膜受容体を構成する膜の糖蛋白に関する研究を行う上で、糖蛋白に対するストレスとその防御機構を明らかにするために血管内皮細胞と同様の検討を加えた。血小板のグルタチオン濃度は26.7nmol/10^6 cellsと赤血球の5倍以上の濃度を示した。更に、グルタチオン合成酵素も3.9pmol/10^6 cellsと赤血球の約10倍の活性を示した。一方血管障害を示す糖尿病患者の血小板はグルタチオンの濃度が14.8nmol/10^6 cells,グルタチオン合成酵素が1.5pmol/10^6 cellsと,糖尿病患者の血小板において抗酸化機構の低下が示唆された。 肺血管傷害の治療。 肺血管傷害の治療を目的として、人工脂質を用いて種々の薬剤を再構築し肺血管に投与して効果を測定している。
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