1990 Fiscal Year Annual Research Report
重症筋無力症の胸腺におけるレトロウイルスの探索とその発症機構の解明に関する研究
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02454248
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Research Institution | Kitasato Institute |
Principal Investigator |
小野 明 北里研究所, ウイルス部, 副部長 (80160901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 哲 都立大塚病院, 内科, 医長
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Keywords | 重症筋無力症 / 胸腺 / 胸腺腫 / レトロウィルス / 遺伝子クロ-ニング |
Research Abstract |
1.ヒト胸腺に検出されるレトロウイルス遺伝子のcDNAクロ-ニング: KKー11細胞(ヒト胸腺に検出されるレトロウイルス粒子を用いてヒトT細胞株への感染実験を行い得られたウイルス産生株)の培養上清よりウイルス粒子を精製した。逆転写酵素活性が認められた分画を用いてendogenous polymerase reactionにてcDNAを合成した。二本鎖DNA作製後入gt10ベクタ-に組込みcDNAクロ-ニングを行った。 その結果、(1)cDNAクロ-ニングにて10数個の挿入cDNAが得られた。(2)これらのcDNAを探索子としたSouthern分析にてKKー11細胞DNAとの間にハイブリダイゼ-ションが認められた。手術で得られた重症筋無力症の胸腺腫DNAとのSouthern分析では高率にバンドが検出された。ヒト胎盤DNAとの間にハイブリダイゼ-ションは観察されなかった。 2.cDNAクロ-ンの構造決定 7つのcDNAクロ-ンについてジデオキシ法にて一部(400bp〜1200bp)の塩基配列を決定した。ホモロジ-の検討ではGen Bank,EMBLに登録された既知のウイルス遺伝子とは一致せず、新しいウイルス遺伝子と判明した。HIVなどレトロウイルス遺伝子と比較的高いホモロジ-を示した。 今後、さらに多数例の重症筋無力症胸腺DNAとの間でSouthern分析を行う。クロ-ニングで得られたcDNA(ウイルス遺伝子の断片)を探索子としてgenomicクロ-ニングを行う。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] A.Ono: "molecular aspect of retrovirus in human thymomes and thymus hyperplasias." Proc.VI Internatioal Congress of Mucosal Immunology,1990.
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[Publications] 小野 明: "ヒト胸腺レトロウイルス" 日本呼吸器外科学会雑誌. 4. 599 (1990)
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[Publications] A.Ono: "Molecular cloning of a retrovirus particle in human thymoma cells." J.Cancer Research and Clinical Oncology(Supplement to Vol 116ー15th International Cancer Congress). 116. 210 (1990)