1991 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮由来弛緩因子の産生・放出の分子機構の解明とその病態的意義
Project/Area Number |
02454257
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
横山 光宏 神戸大学, 医学部, 教授 (40135794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 康洋 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (80169755)
秋田 穂束 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (60175792)
石川 雄一 神戸大学, 医学部, 助教授 (90159707)
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Keywords | 内皮細胞 / 内皮由来血管弛緩因子 / イノシト-ル燐脂質代謝回転 / 細胞内カルシウム / リゾホスファチジルコリン / 酸化低比重リポ蛋白 / 情報伝達機構 / 高比重リポ蛋白 |
Research Abstract |
1.血管内皮細胞における内皮由来血管弛緩因子(EDRF)の産生及び放出の機構ーー前年度は培養ウシ大動脈内皮細胞でイノシト-ル燐脂質代謝回転(PI代謝回転)と細胞内Ca^<2+>濃度を測定し、Bradykinin(0.1nMー1μM)は培養内皮細胞において濃度依存性にPI代謝回転を生じ、細胞内Ca^<2+>貯蔵部位からのCa^<2+>の放出及び細胞外Ca^<2+>の細胞内への流入をひきおこすことを明らかにした。さらに、培養内皮細胞からのEDRFの放出はこの情報伝達機構を介することをbioassay法により明らかにしたが、現在、EDRFの本体と考えられているー酸化窒素(NO)を化学発光法にて測定することにより、上記情報伝達機構の研究を展開中である。 2.EDRFの産生及び放出に対する修飾リポ蛋白の影響ーー我々は、修飾リポ蛋白のひとつで、動脈硬化の一因と考えられている酸化低比重リポ蛋白(酸化LDL)が、受容体刺激によるEDRFを介する血管拡張反応を抑制することを見いだした。また、酸化LDLは培養内皮細胞に作用し、細胞内Ca^<2+>貯蔵部位からのCa^<2+>の放出をひきおこしたが、明らかなIP_3の産生を生じなかった。培養内皮細胞を酸化LDLによって前処理すると、濃度依存性にBradykininによるPI代謝回転及び細胞内Ca^<2+>濃度の上昇を抑制することを見いだした。この内皮細胞における受容体を介する情報伝達機構の抑制が、酸化LDLがEDRFの産生を抑制する機序の一つであることを明らかにした。また、酸化LDLによるEDRF産生の抑制は、高比重リポ蛋白(HDL),native LDLにより減弱することを見いだした。その機序として、HDL及びnative LDLは、酸化LDL中のリゾホスファチジルコリン(LPC)の内皮細胞への移行を減少させること、さらに、移行したLPCも引き抜くことを明かにした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Hirata: "Oxidized low density lipoprotein inhibits bradykininーinduced phosphoinositedes hydrolysis in cultured bovine aortic endothelial cells" FEBS Letter. 287. 181-184 (1991)
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[Publications] K.Hirata: "Impaired vasodilatory response to atrial natriuretic peptideduring atherosclerotic progression" Arteriosclerosis. 12. 99-105 (1991)
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[Publications] T.Tsuda: "Vasoconstrictorーinduced proteinーtyrosine phosphorylation in cultured vascular smooth muscle cells" FEBS Letter. 285. 44-48 (1991)
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[Publications] M.Koide: "Stimulation of proteinーtyrosine phosphorylation by endothelinーl in cultured vascular smooth muscle cells" Atherosclerosis. 92. 1-7 (1992)