1990 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚悪性腫瘍の動物モデルの開発と遠隔転移機構に関する遺伝子工学的解析
Project/Area Number |
02454277
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今村 貞夫 京都大学, 医学部, 教授 (30026869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 福美 京都大学, 医学部, 講師 (40156964)
宮地 良樹 京都大学, 医学部, 講師 (30127146)
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Keywords | 悪性血管内皮細胞株Fー2 / 紫外線誘発腫瘍 / 悪性血管内皮細胞腫 / ILー2 / 皮膚扁平上皮癌細胞株PAMーT / 皮膚扁平上皮細胞株212 / 皮膚扁平上皮腫 |
Research Abstract |
1.悪性血管内皮細胞株Fー2の樹立 紫外線誘発マウス(BALB/CxC57BL/6ーF1)腫瘍塊より、血管内皮細胞株Fー2のクロ-ン化に成功した。Fー2は、血管内皮細胞としての形態的特質(cobblestone appearance,アセチル化LDLの取り込み、GSAー1 binding,など)をinvitroにおいて、保持し、かつ、ヌ-ドマウスの皮下に接種すると、血管腫瘍を形成する全く新しい腫瘍原性株である。2.Fー2誘発血管腫瘍の性状 Fー2はヌ-ドマウスの皮下に接種すると、血管内皮細胞腫を形成し、腫瘍は急速に拡大しながら、ホストマウスを、数週間以内に体内外への出血により死に至らせるという点からFー2の悪性度は強いと考えられ、悪性血管内皮細胞腫の動物モデルを供し得る。3.Fー2腫瘍に対するILー2の影響 ILー2の悪性血管内皮細胞腫(MHE)に対する有用性は、よく知られている。Fー2は、有胸腺マウスに接種すると、最終的に誘発腫瘍は拒絶されるが、それまでの期間が、ILー2投与により有意に短縮されたことより、このモデルは、ILー2のMHEに対する臨床的有用性の機序解明にも有用である。4.皮膚扁平上皮癌細胞株PAMーTを樹立 BALB/c由来皮膚扁平上皮細胞株PAM212より、強い腫瘍原性を持つ亜株PAMーT株を樹立した。PAMーTは周囲への浸潤性が強く、ホストマウスを腹膜炎にて死亡させることより、PAMーTは皮膚扁平上皮癌動物モデルを提供すると考えられる。5.今年度は血管内皮細胞株Fー2と皮膚扁平上皮細胞株PAMーTの新たなる樹立とこれら両株による悪性血管内皮細胞腫と皮膚扁平上皮癌の動物モデルの作成に成功した。次年度はこれら腫瘍株のさらなる特性の解明及び動物モデルを用いた発癌制御機構の解析を開始する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 成尾 憲一,志甫 理,塚本 恭造,戸田 憲一,宮地 良樹: "マウス血管内皮細胞株の増殖に対する遺伝子組み換え型ヒトインタ-ロイキンー2(rILー2)の影響ならびにrILー2誘導非特異的キラ-細胞による細胞障害活性" 薬理と治療. 17. 3781-3786 (1989)
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[Publications] 大津 絋一朗,宝宮 孝司,成尾 憲一,塚本 恭造,丸口 幸也,戸田 憲一,宮地 良樹: "マウス血管内皮細胞株のInVivoでの増殖に及ぼす遺伝子組換え型ヒトインタ-ロイキンー2(rILー2)の影響" 薬理と治療. 17. 4259-4266 (1989)
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[Publications] Toda KI,Tsujioka K,Maruguchi Y,Ishii K,Kuribayashi K,Miyachi Y,Imamura S: "Establishment and characterization of a tumorigenic murine vascular endothelial cell line(Fー2)" Cancer Research. 50. 5526-5530 (1990)
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[Publications] Tsujioka K,Toda KI,Maruguchi Y,Miyachi Y,Imamura S: "Morphological characterization of hemangiomatous tumors derived from a novel murine endothelial cell line(Fー2)"
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[Publications] Maruguchi Y,Toda KI,Fujii K,Watanabe Y,Imamura S: "Survival period of tumorーbearing mice was prolonged after the rIFNーproduction gene transfer"