1990 Fiscal Year Annual Research Report
新しい型のび漫性体幹被角血管腫:尿中の異常代謝産物の精製・構造決定と欠損酵素解明
Project/Area Number |
02454279
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
神崎 保 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (80118801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 義雄 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (90106435)
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Keywords | びまん性体幹被角血管腫 / αーNーアセチルガラクトサミニデ-ス / ポイントミュ-テ-ション / ライソゾ-ム蓄積症 |
Research Abstract |
本研究は二つの部分から成り立つ。即ち,びまん性体幹被角血管腫を示した1)日本人症例と2)スコットランド人症例である。 びまん性被角血管腫を起こす原疾患には4種知られているが,これにさらに2種の新しい疾患(日本人例とスコットランド人例)が加わるものと考えられる。 日本人症例(46歳,女)は体幹に顕著な被角血管腫を示し,病理組織学的にも診断が確認された。電子顕微鏡的には各種の細胞の胞体のライソゾ-ムが空胞化しているのが認められた。尿の分析で多量のシアル酸を含んだ糖ーアミノ酸結合体が検出された。これを各種のカラムで分離精製した。精製した物質をアミノ酸,糖分析などで解析した結果,分子量約1060のNー結合型の糖ーアミノ酸結合物質と分かった。これの蓄積をきたす原因としてαーNーアセチルガラクトサミニデ-スの欠損が確認された。そしてこの酵素欠損はDNA塩基の一個がC→Tへの置換により,酵素蛋白質のアミノ酸(411個のうちの329番目)がアルギニンからトリプトファンへ変化していることが判明した。かくして第5番目のびまん性体幹被角血管腫(日本人症例)の大筋が解明された。 次にスコットランド症例(26歳,女)の検索に入った。皮疹はそれ程目立ったものではないが,病理組織学的に診断が確認された。電子顕微鏡的検索により血管内皮細胞のライソゾ-ムは電子密度の高い細顆粒状のもので充満されていた。形態的に未報告の型のライソゾ-ム蓄積症を示唆していた。尿の分析では糖蛋白に異常は見られなかったが,糖脂質に異常バンド(TLC)が認められた。血清および尿の各種酵素活性測定によりβーガラクトサイデ-ス欠損を強く思わせたが,線維芽細胞を用いての測定では正常であった。尿の分析を継続中。
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[Publications] Hirabayashi,Y.: "Isolation and characterization of major urinary amino acid Oーglycosides and a dipeptide Oーglycoside from a novel lysosomal storage diserder (Kanzaki disease)." J.Biol.Chem.265. 1693-1701 (1990)
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[Publications] Schindler,D.: "A method for the rapid detection of urinary glycopeptides in αーNーacetylgalactosaminidase deficiency and other lysosomal storage disease." Clin.Chim.Acta. 190. 81-92 (1990)
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[Publications] Hirabayashi,Y.: "Defects in the metabolism of the Oーlinked oligosaccharides of glycoproteins." T.I.G.G.93-99 (1990)