1991 Fiscal Year Annual Research Report
ポジトロン標識コカインを用いたコカイン中毒機構の解明
Project/Area Number |
02454290
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水柿 道直 東北大学, 医学部附属病院, 教授 (60004595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱沼 隆則 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (20199003)
江戸 清人 福島県立医科大学, 助教授 (40125505)
佐藤 光源 東北大学, 医学部, 教授 (70033321)
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Keywords | コカイン / 麻薬 / ポジトロン / 中毒 / 体内動態 / 逆耐性 |
Research Abstract |
コカインのpositron emission tomography(PET)による体内動態の解析と、中毒及び逆耐性現象の発症機序解明を目的として、正常及び逆耐性モデルマウスにおける、 ^<11>C標識コカインの体内動態を検討し、逆耐性形成に伴う臓器及び脳内分布の変化を解析した。 ^<11>C標識コカインはノルコカインの直接メチル化法により、放射化学的収率58%、放射化学的純度99%以上、放射活性4mCi、比放射能22Ci/mmolとその体内の局在性検討に充分な収率にて合成された。 ^<11>C標識コカインをddY雄性マウス(20ー30g)に尾静脈注射にて投与後、一定時間の体内臓器及び脳内部位中の比活性を測定し、単位重量当りの放射能DARを用いて取り込み量を比較検討した。 ^<11>C標識コカイン(55μCi/head)の脳、肺、心、肝、腎、小腸、脾、後肢大腿部筋の各臓器と血液中への集積量の経時変化を検討すると、未処理及び対照マウスにおいて、 ^<11>C標識コカインは肺、腎、肝及び小腸に集積し、脳内各部位には5分以内に集積し、15分以内に消失した。非標識コカイン10mg/kgを14日間連続、1回/日投与後、それに続く7日間の断薬により逆耐性モデルマウスを作製し、 ^<11>C標識コカインの臓器分布の変化を検討すると、非標識コカイン投与期間に、同量の生理食塩水を投与した対照群に比して、脳、腎、胃での消失が遅延した。 マウス脳を前部大脳皮質(frontal cortex)、線条体、後部大脳皮質、海馬、中脳、視床下部、小脳、延髄の8部位に分画し、部位ごとの集積度を比較検討すると、脳内各部位の集積は5〜15分に最大値が認められ対照群に比して集積時間が遅延した。 また、非標識コカインの前処理により、 ^<11>C標識コカインの脳内集積には大きな変動は認められず、取り込みの増加したメタンフェタミンの検討結果と相違した。 以上の知見より、コカインの連用とそれに続く断薬により生じる、コカイン自身の体内動態の変化は、脳を含む臓器及び脳内各部位への集積時間の遅延と貯留性の増大を引き起こすことが明かとなった。これら変化は、逆耐性形成の一因となるものと考えられた。また、非標識体の前投与時の結果より、コカインとメタンファタミンの脳内局在機構は異なるものと考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Mizugaki: "Synthesis of ^<11>CーLabeled Cocaine and Its Biodistribution in Mice" CYRIC Ann.Report,1990. 93-99 (1991)
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[Publications] 水柿 道直: "耐性とその形成メカニズム" 目でみる神経医学シリ-ズ「薬物依存」.