1991 Fiscal Year Annual Research Report
老人斑の生成におけるプロテア-ゼ阻害物質の役割に関する研究
Project/Area Number |
02454294
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
三好 功峰 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10068447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高内 茂 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (60122321)
佐藤 正保 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50115854)
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Keywords | 老人斑 / 蛋白分解酵素阻害物質 / 神経突起 |
Research Abstract |
1.蛋白分解酵素阻害物質の脳内持続注入による脳病変についてー 前年度までに、各種の蛋白分解酵素阻害物質を脳内に注入し、ロイペプチンにおいては、脳内にスフェロイドと呼ばれる神経突起の膨化と胞体内のリポフスチンの形成促進をみとめ、アルファー1ーACTにおいては、脊髄に同様の神経突起の変化を見出し、老人斑における神経突起と共通点が多いことを明らかにした。本年度は、免疫組織化学的ならびに電顕的検索において、ロイペプチンによる神経突起の膨化部位においてユビキチンを認め、また、胞体内で特異な、周期性のある線維構造を認めた。これらは、アルツハイマ-病でみられる神経原線維変化と共通点の多いものである。 2.培養神経組織の神経突起に対する蛋白分解酵素阻害物質の影響ー 蛋白分解酵素阻害物質であるロイペプチンやアルファー1ーアンチキモトリプシン(ACT)が培養神経細胞の突起に対し、いかなる影響を及ぼすかを検討した。ロイペプチンに関しては、培養液に高濃度(5mM)添加した群で、突起の伸長は著しく障害されたが、低濃度(5μー5mM)では、培養5日目までは、対照に比べ、突起の伸長が有意に促進された。また、培養神経細胞を電顕的に検索し、神経突起内の細胞内骨格の増成と、胞体におけるリポフスチンの増加を認めた。これらのことは、ラットの脳内で認められた神経突起の変化と同質の変化を培養神経細胞においても認めたことを意味する所見であった。老人斑において存在することが証明されているアルファー1ーアンチキモトリプシン(アルファー1ーACT)の培養液内への添加を行なった場合には、神経突起に対し、有意の伸長作用は認められなかった。 以上より、蛋白分解酵素阻害物質が、老年性変化の形成に関与している可能性が示された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 三好 功峰: "老年期の痴呆について" 兵庫医科大学医学会雑誌. 15. 1-6 (1990)
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[Publications] 三好 功峰: "痴呆動物モデルと神経伝達物質" 老年精神医学雑誌. 2. 403-415 (1991)
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[Publications] 三好 功峰: "痴呆" 神経精神薬理. 12. 735-742 (1990)
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[Publications] 三好 功峰: "痴呆研究におけるロイペプチン" Dementia. 6. 75-82 (1992)
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[Publications] 三好 功峰: "蛋白分解酵素阻害物質による神経突起の変性" 老年期痴呆研究会雑誌. 6. (1992)
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[Publications] 三好 功峰: "痴呆とプロテア-ゼインヒビタ-" 老年精神医学雑誌. 4. (1992)
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[Publications] Takauchi,S.: "Alzheimer's Disease: Basic Mechanisms,Diagnosis and Therapeutic Strategies." Wiley & Sons Co., 688 (1991)
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[Publications] Koho Miyoshi: "Biological Psychiatry,Vol.2." Elsevier, 949 (1991)