1992 Fiscal Year Annual Research Report
老人班の生成におけるプロテアーゼ阻害物質の役割に関する研究
Project/Area Number |
02454294
|
Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
三好 功峰 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10068447)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高内 茂 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60122321)
佐藤 正保 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50115854)
|
Keywords | ロイペプチン / 学習障害 / タンパク分解酵素阻害物質 / E-64 / リポフスチン / 神経突起 |
Research Abstract |
1)タンパク分解酵素阻害物質・ロイペプチン脳内投与のラット脳と学習能力に及ぼす影響ーーウィスター系ラットの側脳室に浸透圧ミニポンプを用いて、ロイペプチンを14日間注入し、その直後ならびに3か月後に、光学顕微鏡的ならびに電子顕微鏡的に検索した。その結果、いずれの時期においても大脳の広範な部位に軸索の膨化(スフェロイド)と細胞体内におけるリポフスチンの沈着を認めた。このような動物において、シャトル型受動的回避反応実験装置を用いて学習障害の有無を検討した。その結果、ロイペプチン投与群では、有意に学習獲得の遅延と学習保持の低下を認めた。 2)ロイペプチンの培養神経細胞に及ぼす影響ーー胎生17日目のウィスター系ラットの胎仔の海馬からトリプシン処理によって神経細胞を単離し、ロイペプチンを含む培養液で3-7日培養し、ロイペプチンを添加していない対照群と比較した。その結果、ロイペプチンを高濃度添加した群では、突起の伸長は著しく阻害されたが、低濃度群では、有意に促進された。 3)プロテアーゼ阻害物質E-64脳室内投与のラット脳に及ぼす影響ーーウィスター系ラットにおいて、シスチン・タンパク分解阻害物質であるE-64を、浸透圧ポンプを用いて2週間にわたって持続投与した。その結果、海馬歯状回細胞層のニュロピルに広範に腫大した神経細胞が認められ、その細胞体内にリポフスチン顆粒の著しい蓄績がみられた。また神経突起の変性も明らかであった。 4)アルファーノ-アンチキモトリプシン脳室内投与のラット脳に及ぼす影響 脊髄前索の軸索において膨化が認められた。 タンパク分解酵素阻害物質の脳内投与で老人斑におけると類似性のある神経突起の変性をみとめ、このような物質が老人斑形成に関わる可能性があることが明らかになった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 三好 功峰: "痴呆とプロテアーゼ・インヒビター" 老年精神医学雑誌. 3. 736-742 (1992)
-
[Publications] 三好 功峰: "痴呆研究におけるロイペプチン" Dementia. 6. 75-82 (1992)
-
[Publications] Takauchi S: "Neurofibrillary change in rat brain as a longterm effect by intraventricular infusion of protease inhibitor,leupeptin." Neurobiology of Aging. 13. 108- (1992)
-
[Publications] Ikegami S: "Trophic and inhibitory effects of protease inhibitor,leupeptin in the rat neural tissue culture." Neurobiology of Aging. 13. 107- (1992)
-
[Publications] 三好 功峰: "Protease Inhibitorによる神経突起の変化について" 老年期痴呆研究会誌. 5. 22-24 (1993)
-
[Publications] 高内 茂: "プロテアーゼ・インヒビターによる脳病変" Dementia. 7. (1993)