1990 Fiscal Year Annual Research Report
間欠的人工血液潅流による超長期肝保存法の開発とドナ-肝の分割利用法の検討
Project/Area Number |
02454295
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小山 研二 秋田大学, 医学部, 教授 (80004638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
面川 進 秋田大学, 医学部, 助手 (30221170)
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Keywords | 肝保存 / DNA損傷・修復 / 肝実質細胞・非実質細胞 / 肝ミトコンドリア機能 / 間欠的肝潅流 |
Research Abstract |
移植肝の生着には、細胞レベルでの核DNA損傷度が関与する。そこでUniversity of Wisconsin(UW)液およびEuroーCollins(EC)液に低温漬保存した肝のviabilityを、肝実質細胞ならびに非実質細胞の核DNA損傷度とDNA修復能,蛋白合成能から検討した。その結果以下のことが明らかになった。 1.肝実質細胞の核DNA損害は,細胞膜が破綻する前から生じ、EC液保存では12時間から、UW液保存では48時間から増大した。また、EC液保存48時間ではDNA修復が行われない程のDNA損傷が生じていた。 2.肝実質細胞の蛋白合成能は、EC液保存では24時間から、UW液保存では48時間から低下した。すなわち膜の破綻が生ずる前から個々の細胞の機能が低下していた。 3.肝非実質細胞の核DNA損害度は、実質細胞のそれに先行して増大し、低温浸漬保存では非実質細胞の障害が保存時間を規定する一因子である。 また、移植肝の血流再開後にかかる負荷を想定し、低温浸漬保存肝から分画したミトコンドリアに高温負荷を加え、そのATP生成能の変化から動的な保存肝エネルギ-生成能の評価を行った。その結果まずEC液では保存12時間から高温負荷によるATP生成能の低下率が増大し、48時間保存では高温負荷によりATP生成能が消失した。これに対してUW液では保存24時間から高温負荷によるATP生成能の低下率が増大し、12時間、48時間でEC液と比較し、負荷に対する抵抗性が有意に高く保たれていた。本法により負荷に対するミトコンドリア機能の予備力を容易に推定でき、エネルギ-生成能の面から移植肝としての適性をより的確に判断しうる。 以上の研究結果は、本研究すなわち長期保存のための間欠的肝潅流の行うべき時間やその方法(流量、圧、潅流液等)に多くの示唆を与える基礎的な研究実績となるものである。
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Research Products
(1 results)