1990 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド型人工血管における人工素材ー細胞間の相互作用に関する組織学的検討
Project/Area Number |
02454296
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多田 祐輔 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (70010246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 元昭 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
江上 純 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
佐藤 紀 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (40170724)
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Keywords | ハイブリッド型人工血管 / 小口径人工血管 / 血管内皮細胞 / 細胞培養 / 超極細ポリエステル繊維 / Endothelial cell seeding / Prelined graft |
Research Abstract |
1.血管内皮細胞の採取および培養法;イヌの頚静脈を無菌的に採取し、この内腔にカヌレ-シヨンして、0.1%のcollagenase溶液を、37℃で10分間作用させた後、静脈内腔を40ccのMediumー199で洗浄し、この洗浄液を遠沈し、得られた沈渣を初代細胞とした。血管平滑筋細胞等の混入は、血管の採取時の壁の挫滅、静脈採取から細胞採取までの保存時間、酵素濃度および作用時間、酵素作用後の内腔の洗浄の程度等いくつかの要素が関与し、完全に防止し難いが、上記の方法によって、ほぼ安定して、コンタミネ-ションの無い内皮細胞が得られた。培養液としては、Mediumー199に牛胎児血清20%,Hepes buffered medium15mM,Lーglutamine4mM,heparine50u/ml,Endothelial cell growth supplement(Sigma #EO760)20μg/ml,に抗生剤を加えたものを使用し、37℃5%CO_2濃度下に静置培養し、隔日に培養液の交換を行った。この条件で、数世代にわたって安定した継代が可能であったが、継代による細胞の形質の変化の可能性等を考慮し、実験は、主として初代ないし代2代培養細胞を用いた。 2.内皮細胞のポリエステル繊維上への生着についての検討;表面加工をしていないポリエステル繊維織布上への内皮細胞の生着性に関して、臨床で用いられている、woven Dacron(Cooley VeriーSoft^R、以下W.D.)とvelour woven Dacron、および、新しい素材である超極細ポリエステル繊維で作成した起毛性織布(以下SAM)において検討した。細胞間隙に捕捉させる形で撒き付けた内皮細胞は、予めfibronectin等で表面加工していないポリエステル繊維上にも扁平に広がり生着するのが観察された。また、高濃度に生着させた場合W.D.やSAMのように繊維間隙が狭い織布では、この間を埋める基質がないにも関わらず、繊維間を橋渡しするような形で人工織布上に一層の細胞層を形成して来るのが観察された。繊維間隙の小さなSAMおよびwoven Dacronでは、ともに良好に細胞は捕捉されたが、起毛のない平織りものでは再び培養液中に流れ出てしまう為か、生着率は不良で、SAMにおいて最も良い生着が得られた。
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[Publications] 高木 淳彦他: "ハイブリッド型人工血管" 人工臓器. 19(5). 1461-1467 (1990)
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[Publications] 高木 淳彦他: "In vitroにおけるハイブリッド型人工血管の作成" 人工臓器. 19(3). 1064-1068 (1990)
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[Publications] 進藤 俊哉他: "イヌ自家静脈内皮細胞と超極細ポリエステル繊維によるハイブリッド小口径人工血管の移植実験" 人工臓器. 19(3). 1361-1364 (1990)
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[Publications] 白川 元昭他: "Filtration法による内皮細胞seedingグラフトの短期回収例における組織学的検討" 人工臓器. 19(3). 1297-1300 (1990)