1992 Fiscal Year Annual Research Report
経肛門的直腸壁ドップラー法による腹腔内血行動態の臨床的ならびに実験的研究
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02454299
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental Univ. School of Medicine |
Principal Investigator |
岩井 武尚 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (90111591)
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Keywords | 経肛門的直腸ドップラー法 / 腹腔内血行動態 / 骨盤内血行動態 / 腹部大動脈瘤 / 大動脈ー腸骨動脈閉塞 / 大腸虚 / 殿筋跛行 / 血管性インポテンス |
Research Abstract |
近年の閉塞性動脈硬化症と粥状硬化性腹部大動脈瘤患者の飛躍的増加に対しては、その安全な治療法の確立が急務である。 われわれが独自に開発し主として臨床に応用してきた経肛門的直腸ドップラー法は非侵襲的診断法であり、何ら患者の苦痛なしに腹腔内や骨盤内血行をダイナミックに把握でき腹部大動脈を中心とした領域の手術を安全に行う指標を提供できた。 腹部大動脈瘤では、従来の理論をくつがえして1本の下腸間膜動脈と2本の内腸骨動脈の計3本を結紮してもこの方法により直腸内ドップラーシグナルが存在すれば安全であることが証明できた。さらに大動脈シャ断によっても直腸内シグナルが十分強ければ従来利用してきたヘパリンの全身投与を行うことなく血管吻合を行うことができることを証明した。 このように本法は腹腔内側副路の発達とそのチャンネルをダイナミックに把握可能であった。そして世界唯一の簡便かつ正確な指標として各学会で認められるに至った。 一方、現在までその病態が不明であった殿筋跛行や血管性インポテンスについても診断ならびに治療効果の判定に有効であることが判明し発表してきた。本法は客観的判定法として活用できるばかりでなく、近年増加している腹腔内操作を避けた後腹膜アプローチによる術式撰択では唯一の客観的な方法となる。 プローベの改良については先端部に直腸粘膜がよく接触するように脱気ゼリーを旨く注入する方法に工夫改良を加えた。その結果本法によるfalse negative率はほとんど0となりより正しい情報を提供できるようになった。この方法によって得られた知識が広く全世界に普及することを願ってやまない。
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[Publications] 桜沢 健一: "末梢血管外科からみた腸血流ー術中ドップラーと内視鏡粘膜所見との対比ー" 臨床外科. 47. 147-151 (1992)
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[Publications] 桜沢 健一: "経肛門的直腸内ドップラー法ー最近の知見ー" 脈管学. 31. 112-113 (1992)
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[Publications] 岩井 武尚: "殿筋跛行の診断と治療" 外科治療. 67. 140-144 (1992)
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[Publications] T.Iwai: "Hip claudicationーits pathophysiology and treatmentー" Vasculau Surgery. 27. 19-26 (1993)
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[Publications] 岩井 武尚: "泌尿器科MOOK3 インポテンス診療の実際「血管手術」" 金原出版, 215 (1992)
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[Publications] 佐藤 彰治: "AIOD(大動脈ー腸骨動脈閉塞性疾患)のすべて" へるす出版, 256 (1992)