Research Abstract |
浜松ホトニクス社製半導体レ-ザ-装置(連続発振,波長830nm,接触型プロ-ベ)を用いて,手術用顕微鏡下に,ラット大腿静脈の吻合を行い,従来の縫合糸による手縫い吻合法と比較し,検討した。開存率は,1週〜最長16週までの経過観察で,レ-ザ-吻合の開存率は,95.0%(n=40)と良好であり,手縫い吻合92.5%(n=40)と比較し有意差はなかった。2週間後の弾性線維染色では,レ-ザ-吻合部の血管内膜の被覆は完全で,コラ-ゲン線維と弾性線維の再配列がみられるのに対し,手縫い吻合でみられた血管内皮細胞の傷害に由来する内膜の線維性増殖や,縫合糸周囲の異物反応は少ない傾向にあり,良好な創傷治癒を呈していた。これらの研究結果は第18回血管外科研究会と,第10回日本静脈学会にて報告した。しかし,一方,リンパ管吻合,或いはリンパ一静脈吻合に関しては,イヌの後肢を用いて実験中であるが,実験自体,熟練したテクニックを要し,また,吻合に至適なレ-ザ-照射条件の設定等,さらに検討しなければならないので,現在のところ,充分な実験結果は得られていない。また,レ-ザ-照射による血管内膜の抗血栓性の影響について,線溶活性の測定を行って検討する予定である。レ-ザ-による静脈吻合に関しては,その長期開存率,創傷治癒が良好であることから,臨床応用を行いたいと考えている。そのため,接触型プロ-ベの形状を改良し,操作性をさらに向上させた。また,イヌを用いた脈管吻合の基礎実験を行って,至適レ-ザ-照射条件の決定,吻合手技の向上をはかりたいと考えている。
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