1990 Fiscal Year Annual Research Report
肝移植後の網内系細胞の動態及び機能に関する実験的研究
Project/Area Number |
02454301
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中村 達 浜松医科大学, 第二外科, 助教授 (00090027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 正三 浜松医科大学, 第二外科, 教授 (40107818)
室 博之 浜松医科大学, 第二病理, 助教授 (20107824)
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Keywords | 肝移植 / ヒアルロン酸 / 網内系機能 / Fcリセプタ- |
Research Abstract |
現在までに4〜6ケ月の純系ラットを用いて、isograft(LEWーLEW)及びallograft(DAーLEW)のそれぞれ15組に実験的肝移植を行った。以下、それらの結果を述べる。 1)血中ヒアルロン酸(HA)濃度:HAは類洞内皮細胞により代謝されることにより、内皮細胞機能の指標として測定した。正常ラットHA測定値は月齢により差がみられ、基礎的実験結果から本研究では4〜6ケ月齢を用いた。肝移植後の血中ヒアルロン酸濃度は、isograft3日目63.03±24.2ng/ml、5日目84.4±30、7ng/ml、10日目35.5±6.3ng/mlであり、同様にallograftの濃度はそれぞれ84.5±12、7ng/ml、121、7±6、7ng/ml、115.3±17、2ng/mlと術後日数によるHA濃度の変化はなかった。しかし両群を比較すると、3、5及び10日目のいずれにおいてもallograftで高値であり、10日目には有意差を認め(P<0、01)、allograftでの類洞内皮細胞の障害が示唆された。 2)組織学的所見:肝類洞壁細胞はFcレセプタ-(FCR)を持ち、免疫複合体を代謝していることより、類洞壁細胞の障害程度をみる目的でFCRを染色した。allograftのFCRは1日目で正常より染色は弱いが、3,5日目と術後経過するにつれ増強した。それらは広範に浸潤したマクロファ-ジによるものであり、内皮細胞のFCRの染色は減弱していた。 以上の結果より、拒絶反応においては類洞内皮細胞は強く障害を受け、逆にマクロファ-ジは広範に浸潤しているが、その意義につき現段階では報告はなく、実験を進めつつある。
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