1992 Fiscal Year Annual Research Report
動脈血行再建術における晩期閉塞の発生機序の本態の解明に関する研究
Project/Area Number |
02454308
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
草場 昭 琉球大学, 医学部, 教授 (40038659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 義彦 琉球大学, 医学部, 助手 (10177561)
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Keywords | 動脈血行再建 / 術後晩期閉塞 / 自家静脈移植 / 移植自家静脈片内膜肥厚 / 吻合部内膜肥厚 / 抗コラーゲン抗体 / 抗フィブロネクチン抗体 |
Research Abstract |
雑種成犬後肢に血流抵抗の高い異常流れを作成し、大腿動脈自家靜脈バイパス移植(末梢側端側吻合)を行い、移植片ならびに末梢側端側吻合部における内膜肥厚の病態を抗I,II,III,IV型コラーゲン抗体および抗フィブロネクチン抗体を用いて免疫組織化学的に検索した。 1) 移植自家静脈片肥厚内膜 移植1週後には移植片内膜は再生内皮細胞様細胞で被覆された。内皮細胞様細胞は抗I,III,IV型コラーゲン抗体および抗フィブロネクチン抗体で陽性に染色された。2週以降では内皮下2-3層まで強く陽性に染色された。その染色性は動脈の内膜層の染色性とほぼ同様の強さであった。 2)末梢側端側吻合部肥厚内膜 末梢側端側吻合部では、3カ月以降で著しい内膜肥厚が形成された。肥厚内膜は全層にわたって抗1,4型コラーゲン抗体およびフィブロネクチン抗体で陽性に染色された。しかし、移植片肥厚内膜に認められたような内皮細胞様細胞下の染色性の強い帯状層は認められなかった。抗フィブロネクチ抗体では、細胞の形態や線維の形態が不明瞭で、全体にびまん性に染色される傾向がみられた。III型コラーゲンについては、吻合部肥厚内膜表層部で弱く染色される傾向がみられた。 以上の結果より、移植片内膜においては内腔側の数層は動脈の内膜に類似するコラーゲンの分布を持つ層が形成され、これは生理的「動脈化」の現象とも考えられた。一方、末梢側端側吻合部での肥厚内膜では動脈の内膜に類似するコラーゲンの分布を持つ層を持たず、内皮細胞下の平滑筋細胞あるいは筋線維芽細胞は増殖制御因子を欠如している可能性が示唆された。しかし、コラーゲン、フィブロネクチンの分布には不明な点があり今後、更に検索を重ねる必要がある。
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Research Products
(1 results)