Research Abstract |
目的ストロ-マフリ-ヘモグロビンをリポゾ-ムでコ-ティングしたネオレッドセル(以下NRC)の循環動態改善効果および安全性を検討する。 方法NRCを5%アルブミン液中に浮遊させ、粒子径180±80^<nm>,酸素運搬効率25〜40%に調整した。体重約10kgの雑種成犬5頭を用い,静脈麻酔下に動脈脱血により収縮期血圧60mmHgのショック状態とし、脱血量と等量のネオレッドセル液により置換した。脱血・置換を4回施行し、循環動態,血液生化学的変化,血中酸素含量などを測定した。 成績(1)希釈率の平均は第1回より第4回までそれぞれ47%,63%,73%,79%であった。平均血圧は前153,第1〜第4回置換時は137,111,93,85mmHgと徐々に低下したが,心指数はそれぞれ2.74,2.24,3.37,3.43,3.56(L/m/m^2)と増加した。全末梢血管抵抗は漸減し,末梢循環はNRCによる血液希釈にともない良好となった。2)動静脈間のNRCー酸素含量較差は第1回置換後から0.84,1.07,1.28,1.25,ml/dlで,全身の酸素消費量に占めるネオレッドセルの関与率はそれぞれ15.5,24.9,30.9,43.2%であり,PaO_2は前値117,以後は126,139,131,133mmHgと安定していた。置換後,血糖の上昇はみられず、アシド-シスも軽度であった。3)血液生化学検査成績ではほぼ正常値のまま推移した。4)置換24時間後に犠牲死させた犬の剖検所見では肝においてマクロファ-ジがNRCを貪食している所見が認められた以外、著明な変化はみられなかった。 結論.出血性ショックに対し、NRCは循環改善効果があり、酸素運搬能も認められた。安全性の上でもほゞ満足すべき結果がえられた。
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