1991 Fiscal Year Annual Research Report
臓器保存に関する組織Ca^<2+>イオンの動態とカルモジュリンの役割
Project/Area Number |
02454313
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 信博 東京大学, 医学部(病), 講師 (40010160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津久井 元 東京大学, 医学部, 医員 (90227380)
伊豆 稔 東京大学, 医学部, 医員 (70221075)
石丸 正寛 東京大学, 医学部, 助手
後藤 振一郎 東京大学, 医学部, 助手 (40186888)
大盛 芳路 東京大学, 医学部, 医員 (60185395)
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Keywords | 肝虚血 / 硬変肝 / Ca拮抗剤 / Calmodulin拮抗剤 / 細胞内Ca / NMR / 5FBAPTA |
Research Abstract |
平成3年度概要 昨年までの研究により、Ca拮抗剤、Calmodulin拮抗剤が、常温肝虚血時の肝疵護に有益であるとの結果を得た。しかし、実際に肝虚血時にCaイオンがどのような変化を示すかは、測定しえなかった。そこで、はたして虚血中の肝細胞の保護にCaが大きな役割を担っているかどうかを知るために、その肝細胞内のCa濃度をin vivoで測定しようと試みた。その測定法にはNMRを用いたが、それでは直接Caイオンを測定できないために、5FーBAPTA AMを門脈系に投与し、これが細胞内Caイオンと結合することを利用して細胞内Caを測定しようと試みた。 実験では、虚血によって細胞内のCaイオン濃度が急激に上昇していくのが、観察されたが、実験全体としては再現性に乏しく、Caイオンが、^<19>FーNMRのシグナル上に全く認められないものや、はじめからCaイオンが高濃度のものも存在した。これは、シグナルが弱いこと、磁場強度が弱いこと、5FーBAPTAが水に難溶性であるために特殊な溶解剤を用いているが、これが肝に対し強毒性を持つために静注時にラットの状態が大きく変わること、などが原因として考えられた。以上の理由から、NMRを用いた肝細胞内Caイオンの測定法は未だ確立していない。よって当初期待した結果が求められなかったが、まず、この方法の確立が大きな課題であると考えられた。
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[Publications] 伊豆 稔 ほか: "常温肝虚血時の肝エネルギ-代謝の検討ー正常肝および硬変肝ラットにおけるCalmodulin拮抗剤の効果" 日本消化器外科学会雑誌. 24(5). 1187-1195 (1991)
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[Publications] 伊豆 稔: "肝組織pHによる常温肝虚血限界の予測" 日本外科学会雑誌. 92(7). 831-836 (1991)
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[Publications] 伊豆 稔: "常温肝虚血時の肝エネルギ-代謝の検討ー正常肝および硬変肝ラットの比較を中心として" 日本外科学会雑誌. 93(1). 52-61 (1992)