1991 Fiscal Year Annual Research Report
弓部大動脈血行遮断時経上大静脈逆行性脳潅流法による脳保護効果への検討
Project/Area Number |
02454321
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田辺 達三 北海道大学, 医学部, 教授 (50000956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 慶秀 北海道大学, 医学部附属病院, 教授 (60125359)
佐久間 まこと 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (70170636)
松居 喜郎 北海道大学, 医学部, 助手 (90219379)
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Keywords | 逆行性脳潅流 / 大脳誘発電位 / 弓部大動脈瘤 |
Research Abstract |
弓部大動脈瘤などの循環停止を必要とする際の脳保護において上大静脈よりの送血を行う逆行性脳潅流法が考案されたがその有効性は不明である為その脳保護作用について基礎的・臨床的検討を加えた。 予備実験として北大応用電気研究所で開発した近赤外線分光光度計の組織酸素モニタ-としての感受性について、成人延べ5人にLipo PGE1投与時の四肢組織へモグロビンの酸化・還元状態の変化を測定した。Lipo PGE1 10μg Divにて投与時の総ヘモグロビン前値および投与後20分値の平均は1.4x10-20d,6.8x10ー20D、酸化ヘモグロビンは同1.9x10-20D,7.3x10-20D、還元ヘモグロビンは同-4x10-20D,-7x10ー20Dであった。光路長を直線距離の4倍、ヒト筋肉の吸光度を0.10D/cmと仮定すると四肢組織における酸化ヘモグロビンおよび総ヘモグロビンは各々4.5%ずつ上昇し還元ヘモグロビンに有意な変化はなかった。この実験にて十分な感受性を有していると考えられた。 成犬を用い大動脈送血、右房脱血による体外循環を行い、逆行性臓器保護法の一つとして循環停止時の上大静脈より送血する逆行性脳潅流法について近赤外線分光光度計および硬膜外刺激大脳誘発電位を用い有効性を検討した。 犬の内頚静脈には静脈弁が存在し人と異なり上大静脈からの送血が不可能で両側内頚静脈直接潅流法を考案し施行した。潅流状態の経時的監視には開頭する事なく無侵襲に行える近赤外線分光酸素モニタ-を使用した。神経電気生理学的検討において当初の体性感覚刺激大脳誘発電位は不安定で雑音の多いところまでは導出できず、胸部硬膜外脊髄刺激大脳誘発電位(ECP)を脳機能の指標として用いた。体外循環は潅流量80ml/kg、体血圧50mmHg以上、逆行性脳潅流は潅流量120ー400ml,CVP30mmHg以下、体温は食道温および眼窩温をモニタ-した。 食道温36℃において単純遮断時および逆行性脳潅流時の間にはECP消失時間、同回復時間、回復後amplitudeに有意差を認めなかった。 現在は低体温時(眼窩温22℃)において検討中である。
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Research Products
(1 results)