1992 Fiscal Year Annual Research Report
弓部大動脈血行遮断時経上大静脈逆行性脳潅流法による脳保護効果の検討
Project/Area Number |
02454321
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田辺 達三 北海道大学, 医学部, 教授 (50000956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 慶秀 北海道大学, 医学部附属病院, 教授 (60125359)
佐久間 まこと 北海道大学, 医学部附属病院, 助教授 (70170636)
松居 喜郎 北海道大学, 医学部, 助手 (90219379)
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Keywords | 逆行性脳潅流 / 循環停止 / 弓部大動脈瘤 / 脳保護 / 大脳誘発電位 / 病理組織所見 |
Research Abstract |
逆行性脳潅流法の脳保護効果を、電気的雑音環境下でも安定した大脳機能評価の可能な硬膜外脊髄刺激大脳誘発電位と、病理組織所見の2面から、単純循環停止と比較検討した。 イヌを用い、体外循環下上行大動脈遮断にて心停止を得た後、常温循環停止群(常温循環停止15分、再潅流30-60分、n=5)と常温逆行潅流群(両側上顎静脈よりretroarticular veinに直接挿入したカニューレから常温逆行潅流15分、再潅流30-60分、n=5)を比較検討した。これとは別に低体温(22℃)逆行潅流90分、再潅流60分の群を設け同様に検討した。 大脳誘発電位では、電位、潜時、それらの消失時間、回復時間に2群間で有意差はなかった。組織学的には急性期虚血性変化を両群すべての個体に認めた。ただし常温循環停止群では全個体とも中等度の変化を均一に認めたのに対し、常温逆行潅流群では個体差、及び同一個体内でも部位差が認められた。一方低体温逆行潅流群では虚血性変化は軽微であった。 以上より常温における逆行性脳潅流では大脳機能を維持するに足るだけの酸素供給は行われず、またその効果も個体差が大きくかつ、部位による不均一性があると考えられた。 一方、低体温逆行性脳潅流法では常温と比較して脳保護効果が認められたが、22℃90分でも急性期虚血性変化は認められた。今後、低体温循環停止との比較検討が必要である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 田辺 達三: "心臓血管外科学" 日本医事新報. 3536. 28-34 (1992)
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[Publications] 田辺 達三: "大動脈瘤に対する治療の現状" CARDIAC PRACTICE. 2. 181-184 (1991)
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[Publications] 田辺 達三 その他: "脳部大動脈瘤手術における補助循環法の比較検討" 日本胸部外科学会雑誌. 39. 36-41 (1991)