1990 Fiscal Year Annual Research Report
横隔膜ヘルニアに対する子宮内胎児治療に関する実験的研究
Project/Area Number |
02454323
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
加藤 哲夫 秋田大学, 医学部, 助教授 (20004963)
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Keywords | 横隔膜ヘルニア / 胎仔外科 / 肺低形成 |
Research Abstract |
本年度は妊娠山羊5頭を用い,子宮内胎仔手術により横隔膜ヘルニア作成および修復を試みた。まず麻酔に関しては,絶食2日間,静脈麻酔による導入,気管内挿管,酸素・フロ-センによる麻酔維持を行い安定した麻酔が得られた。胎仔外科の手技面では,子宮壁を介した胎仔手術野の把握および横隔膜の切除法が問題となった。すなわち,子宮開窓法による経胸的横隔膜切除を標準術式としたが,左前胸部という狭い範囲の術野の検討づけは可成困難であり探索に長時間を要した。横隔膜の切除は通常腱中心で行うが山羊では栄養血管が多いため易出血性であった。また横隔膜直下には肝が位置し,横隔膜切除操作時に損害しやすく,一度損傷すれば止血は困難であった。妊娠山羊5頭中術前に2頭が死亡しており1頭は事故死,1頭は病死であった。3頭のみに胎仔手術が可能であったが,2頭は術後数日で早産となり,その原因は前述の如く術野探索のため長時間を要し子宮露出時間が長かったこと,および胎仔出血による胎仔死亡が考えられた。術後経過良好例は1頭のみで,この山羊については初回手術3週後に,横隔膜ヘニルア修復の目的で再度胎仔手術を施行している。しかし横隔膜の切除範囲が小さかったためか腹腔臓器の胸腔内嵌入はみられず,横隔膜ヘルニアのモデルにはなり得なかった。以上述べた如く,山羊胎仔外科の手術手技が確立しておらず今後早期に改善を計りたい。実際には,胎仔の術野に可及的早期に到達すべく子宮開窓はより大きくし,また横隔膜切除のアプロ-チは腹側より行うことを考慮している。山羊胎仔以外に,家兎胎仔の横隔膜へルニア作成も同時にすすめ,モデル作成成功例7例については肺の一般病理以外に肺胞の組織計測,肺動脈の三次元再構築を行い肺低形成の病態の検討を行っている。
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Research Products
(2 results)