1990 Fiscal Year Annual Research Report
多発性外骨腫の責任遺伝子と悪性化における遺伝子変化に関する研究
Project/Area Number |
02454344
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
琴浦 良彦 京都大学, 医学部, 助教授 (50127081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石崎 寛治 京都大学放射線生物研究センター, 助教授 (70111987)
佐々木 正夫 京都大学放射線生物研究センター, 教授 (20013857)
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Keywords | 多発性外骨腫 / 二次性軟骨肉腫 / linkage analysis / 染色体分析 / p53癌抑制遺伝子 / ヘテロ接合性消失 |
Research Abstract |
家族性多発性外骨腫4家系、散発性多発性外骨腫2家系について染色体分析及びRFLPプロ-ブを用いた各染色体のlinkage analysisを施行した。前者4家系における患者の白血球の染色体分析の結果は全て異常を認めなかったのに対し、後者のうち、患者1人のみに15番染色体短腕にギムザ染色に濃染する領域の拡大を認めた。これはその領域がAーT richであり、また複製時期が後期で反復配列も多く、遺伝情報が少ないと考えられた。その患者の多発性外骨腫ではない母親の染色体分析も行なった結果同様の異常を認めたため、この異常はこの疾患特有のものではないと判断した。6番、7番、8番、9番、10番、12番、15番染色体のプロ-ブを用いたlinkage analysisでは、症例数が少ないため正確なrod scoreを計算できないが、6番染色体長腕のプロ-ブとは関連している可能性が示唆された。多発性外骨腫が悪性変化して二次性軟骨肉腫になる頻度は非常に低く、1症例においてのみlow gradeの軟骨肉腫を認めた。このようなlow gradeの軟骨肉腫においては、今までに検索した4番、8番、11番、12番、17番、18番、19番染色体でヘテロ接合性が保持され、ヘテロ接合性の消失頻度は骨肉腫と異なり非常に低かった。特に癌抑制遺伝子であるp53遺伝子の乗っている17番染色体短腕においては更に詳細な検討を行なった結果、一次性軟骨肉腫を含む全ての軟骨肉腫において2症例にp53遺伝子を含む領域でヘテロ接合性の消失を認めた。現在p53遺伝子の小さな変化をみるために、PCRーSSCP(polymerase chain reaction and single strand conformation polymorphism)を施行中である。
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