1990 Fiscal Year Annual Research Report
重症関節リウマチの関節部骨髄に見だした癌特異抗原を示す骨髄球系カスケ-ドについて
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02454345
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
越智 隆弘 大阪大学, 医学部, 教授 (80112035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 友厚 大阪大学, 医学部, 助手 (80167379)
小野 啓郎 大阪大学, 医学部, 教授 (70028330)
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Keywords | 慢性関節リウマチ / 特異な骨髄球系カスケ-ド / MY4(+) / 組織破壊活性 / ILー1 |
Research Abstract |
慢性関節リウマチ(RA)患者のうち高度の機能障害に陥る重症病型の解明を目的にしている。従来、RAは関節滑膜を主病巣として単核球系の細胞による免疫異常が病因と考えられてきた。我々は動物実験モデルによる多発関節炎の研究より骨髄が重要な役割を果す事を知りRA患者に骨髄中の異常について調べてきた。その結果、重症RA患者の罹患関節部骨髄中の癌細胞由来糖鎖抗原を示す特異な骨髄球の集積とそれを維持する増殖因子の存在を見いだした。この異常な骨髄球は重症RA患者には認められるが、健常人、軽症RA患者、変形性関節症患者、感染症などには全く認められない特異なものである。正常な骨髄球はモノクロ抗体MY4(-)であるが、RA患者に見いだされた異常な骨髄球はMY4(+)である。全身性の造血組織である腸骨中には正常と思える骨髄球に混じって、多数の異常骨髄球を認め、一方罹患関節部骨髄中には異常骨髄球のみが集積していた。RA患者の腸骨中に存在する正常と思われる骨髄球に、同患者の骨髄液を加えて培養すると異常な骨髄球が出現し液性因子による誘導が見られた。しかし、正常人の腸骨骨髄球ではこのような現象は見られず細胞そのものの異常も示された。異常な骨髄球は形態学的には正常のものと変わらないが著明な貧食能を示した。この系の特徴は、最も分化した細胞である多形核白血球(PMN)が他の部位に見られない強い組織破壊活性を保有していることであった。他の部位、他の疾患には見いだされない高濃度のILー1やPMN因子がこれらの細胞内に見いだされた。滑膜細胞培養中に骨髄液上清を加えると明らかなコラゲナ-ゼ活性が認められ組織破壊との密接な関連を示唆した。異常のような性質を持った骨髄球系カスケ-ドが重症RA患者に於ける組織破壊に大きな役割を果たすと考えられ細胞の特性、誘導機序についての研究を進めている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S Wakitani,T Ochi,Y Shimaoka,K Ono: "ELEVATED LEVEL OF INTERLEUKINー1 IN POLYMORPHONUCLEAR CELLS ACCUMULATING IN BONE MARROW ADJACENT TO THE AFFETED JOINT IN PATIENTS WITH RA." The Journal of Rheumatology.
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[Publications] T Ochi,S Wakitani,Y Shimaoka,K Ono: "ELEVATED ACTIVITY OF INTERLEUKINー1 IN EPIPHYSEAL BONE MARROW ADJACENT TO AFFECTED JOINTS WITH RHEUMATOID ARTHRITIS" 54th ANNUAL MEETING AMERICAN COLLEGE OF RHEUMATOLOGY OCTOBER 27ーNOVEMBER 1,1990 SEATTLE,WASHINGTON.
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[Publications] 島岡 康則、越智 隆弘、岡村 まさ恵、小野 啓郎: "慢性関節リウマチ患者にみられる特異的骨髄球について" 第34回日本リウマチ学会総会 平成2年5月29・30・31.
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[Publications] 脇谷 滋之、越智 隆弘、島岡 康則、林田 賢治、木村 友厚、小野 啓郎: "ムチランス型慢性関節リウマチの罹患関節近傍骨髄中多型核白血球に認められたインタ-ロイキン1活性" 第34回 日本リウマチ学会総会 平成2年5月29・30・31.
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[Publications] 島岡 康則、越智 隆弘、小野 啓郎: "重症慢性関節リウマチ患者の組織破壊と関連する特異的骨髄球及びその維持因子" 第5回 日本整形外科学会基礎学術集会 平成2年10月3・4・5.