1991 Fiscal Year Annual Research Report
神経成長因子の合成誘導による末梢神経再生促進に関する研究
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02454349
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
古川 昭栄 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (90159129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 信之 東京慈恵会医科大学, 整形外科, 助手 (90198226)
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Keywords | 神経成長因子 / NGF / 神経再生 / 末梢神経 / アルキルカテコ-ル / 神経細胞 / サブスタンスP / チロシン水酸化酵素 |
Research Abstract |
第2年度は初年度の成果を発展させることができた。 1)アストロサイトの神経成長因子(NGF)合成を顕著に促進する物質として初年度に見い出されたアルキルカテコ-ルを用いて、NGF合成誘導によってひき起こされる神経機能への寄与を検討した。1日1回、1〜2週間にわたり幼若ラットの腹腔内にアルキルカテコ-ルの一つであるメチルカテコ-ルを投与すると知覚神経系の神経伝達物質であるサブスタンスPレベルが対照に比べ有意に増加すること、交感神経系の神経伝達物質であるノルエピネフリンの合成律速酵素であるチロシン水酸化酵素活性が対照の2〜3倍にも増加すること、を見い出した。すなわち、薬物によって合成誘導されたNGFは生物活性を発揮しその結果、神経細胞の分化を促したと考えられる。 2)このようにして確立されたNGF合成誘導技術を末梢神経再生促進に応用した。すなわち坐骨神経を切断後、ただちに両側の断端をシリコンチュ-ブ内に挿入しもとの体内にもどしたラットを2つの群にわけた。一つの群には1日1回、2週間にわたり生理食塩水に溶解したメチルカテコ-ルを投与し、もう一つの群には生理食塩水のみを投与した。投与、非投与いずれの群でもチュ-ブ内への神経再生が認められる手術5週後に再生組織を取り出し病理学的に観察した。その結果、非投与群に比べメチルカテコ-ル投与群では有意に再生軸索数の増加、直径の大きい軸索の比率が増加していた。投与群と非投与群の間での再生軸索の数の比は再生組織の場所によらず一定であることから、メチルカテコ-ルは軸索の伸長速度を高めるのではなく、発芽する軸索の数を増加させるためであると推定された。さらに多くの点で検討を要するが、末梢神経の再生促進にアルキルカテコ-ルがきわめて有効であると考えられ、これによって本研究の主な目的は達成された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Shigeno T.,Mima T.,Takakura K.,Graham,D.I.,Kato G.,Hashimoto Y.,Furukawa S.: "Amelioration of delayed neuronal death of the hippocampus by nerve growth factor." J.Neurosci.11. 2914-2919 (1991)
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[Publications] Kawagishi H.,Ando M.,Sakamoto H.,Yoshida S.,Ojima F.,Ishiguro Y.,Ukai N.,Furukawa S.: "Hericenones C,D and E,stimulators of nerve growth factor (NGF)ーsynthesis,from the mushroom Hericium erinaceum." Tetrahed Lett.,. 32. 4561-4564 (1991)
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[Publications] Hanaoka Y.,Ohi T.,Furukawa,Furukawa Y.,Hayashi K.and Matsukura,S.: "Effect of 4ーmethylcatechol on sciatic nerve growth factor level and motor nerve conduction velocity in experimental diabetic neuropathic process in rats." Exp.Neurol.115. 292-296 (1992)
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[Publications] Ishikawa R.,Nishikori K.,Furukawa Y.,Hayashi K.,Furukawa S.: "Lesionーinduced reduction of acidic fibroblast growth factor level in the distal part of rat sciatic nerve." Neurosci.Lett.
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[Publications] Hashimoto Y.,Kawatsura H.,Shiga Y.,Furukawa S.,Shigeno T.: "Significance of nerve growth factor content levels after forebrain ischemia in gerbil." Neurosci.Lett.
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[Publications] 古川 昭栄、河岸 洋和: "神経成長因子の生理的意義とその合成促進物質" 化学と生物. 29. 640-646 (1991)
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[Publications] 古川 昭栄、古川 美子(中村 重信編): "神経伝達物質updateー基礎から臨床まで" 中外医学社, (1991)