1992 Fiscal Year Annual Research Report
細胞機能からみた多臓器不全の病態と治療に関する研究
Project/Area Number |
02454351
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Research Institution | Chiba University School of Medicine Medical Center |
Principal Investigator |
平澤 博之 千葉大学, 医学部, 助教授 (80114320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
織田 成人 千葉大学, 医学部, 助手 (90204205)
大竹 喜雄 千葉大学, 医学部, 助手 (50194189)
菅井 桂雄 千葉大学, 医学部, 講師 (10187627)
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Keywords | MOF / 細胞障害 / Cellular Injury Score / 組織酸素代謝 / Humoral Mediator / カテコラミン / CHF / CHDF |
Research Abstract |
昨年度までの研究成果により多臓器不全(MOF)発症の根本的な病態は各臓器を形成する細胞の機能不全の総和であること、これらの細胞機能不全(細胞障害)の程度はcellular injury score(CIS)により定量化可能であること、さらにこれらの細胞障害発症の機序としては、各種humoral mediatorの関与と、組織レベルでの酸素代謝の失調があることが明らかとなった。そこで本年はhumoral mediatorに対する対策と、組織酸素代謝の失調に対する対策が細胞障害を予防ないし治療しうるか否か、ひいてはMOFの予防及び治療に有効か否かを検討した。 Humoral mediatorに対する対策として、granulocyte elastaseに対する阻害剤であるulinastatinの投与により、CISは有意に改善した。さらに持続的血液濾過(CHF)及び持続的血液濾過透析(CHDF)により各種humoral mediatorのnon-selectiveな除去を試みたが、thromboxane B_2Iipid perixide、C_<6a>、interleukin-6などについては良好なクリアランスが示され、これらがCHFないしCHDFで除去可能であることが示唆された。そしてCHF及びCHDF施行により細胞障害も軽減した。 一方組織酸素代謝の失調にしては、fluid resuscitationとカテコラミンの投与により、酸素供給能は改善し、酸素消費量もある程度改善したが、これにCHFないしCHDFを併用することにより、酸素消費量のさらなる改善が得られた。 これらの対策によりMOFの病態の根幹をなす細胞障害はある程度改善され、それに伴って臓器障害も回復し、さらに一部の症例では、敗血症から敗血症性MOFへの進展が予防されたと考えられた。しかしながらこれらの治療効果をさらに明確にし、この治療法が広く臨床的に普及するには、それ以前に症例の集積が必要であると考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 平澤 博之: "MOF治療 -最近の動向-" 綜合臨牀. 40. 2629-2636 (1991)
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[Publications] 平澤 博之: "外傷後多臓器不全(MOF) -その病態と治療-" 日本外傷研究会誌. 6. 84-96 (1992)
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[Publications] 平澤 博之: "Septic ShockとMOF" 集中治療. 4. 435-443 (1992)
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[Publications] 平澤 博之: "ショックにおける微少循環" 代謝. 29. 431-439 (1992)
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[Publications] 志賀 英敏: "MOF患者の全身状態評価法としてのAPACHEII、CISおよびAPACHE Hの比較" 外科と代謝・栄養. 27. 21-28 (1992)
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[Publications] 織田 成人: "敗血症性多臓器不全症例における組織酸素代謝と細胞障害の検討" 日本外科学会雑誌.
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[Publications] 平澤 博之: "臨床医のためのハンドブックショックQ&A(分担執筆) 「MOFの予防法は?」" メディカルビュー社, 2 (1991)
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[Publications] 平澤 博之: "今日の診断指針(分担執筆) 「多臓器不全」" 医学書院, 3 (1992)