1991 Fiscal Year Annual Research Report
脳蘇生における血糖調節と興奮性アミノ酸に関する研究
Project/Area Number |
02454355
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
前川 剛志 山口大学, 医学部附属病院, 教授 (60034972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
副島 由行 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (20206676)
定光 大海 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (10187164)
立石 彰男 山口大学, 医学部附属病院, 助教授 (00155102)
石川 敏三 山口大学, 医学部, 助手 (90034991)
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Keywords | 心肺蘇生患者 / 脳障害 / 脳循環 / 血糖値 / 脳脊髄液 / 神経伝達物質 / アミノ酸 |
Research Abstract |
本研究では心肺蘇生(CPR)患者を対象に、血糖値の脳障害に及ぼす影響を検討した。前回の報告以後、平成4年3月10日までにCPRをした症例は40例でそのうち15例でCPRに成功した。本年度は脳循環の指標として、非侵襲的な経頭蓋ドプラ-法で中大脳動脈血流速度を測定し、経日的変化も検討した。平均血流速度とPulsatility Indexは脳波上θ〜δ波優位の症例群(n=5)で81.3±19.7cm/sec(平均値±標準偏差)、0.99±0.24であり、δ波優位〜平坦脳波群(n=6)で18.5±11.1cm/sec、2.2±1.0でそれぞれ有意差があった。経日変化でもθ〜δ波優位の群で速い血流速度が維持された。 頭部CT所見では前年度に得られた所見以外にiopamidolで強調画像の得られる部位に一致して、単純CTで12ー14日後に高吸収域が認められ、血液・脳関門の破綻が示唆された。 神経伝達物質でneurotoxicityがあるとされるアスパラギン酸とグルタミン酸は対照群の0.6±0.5、1.6±0.7μmol/l(平均値±標準偏差、n=16)からCPR群(n=11、初年度を含む)では3.4±4.1、5.7±7.1μmol/lに有意に増加した。また、抑制性神経伝達物質のタウリンとアラニンも対照群の5.8±1.9、32.0±6.5μmol/lからCPR群では13.8±14.8、97.9±74.8μmol/lに有意に増加した。CPR群を高血糖群(150mg/dl以上;H・BSーCPR群、n=5)と血糖調節群(150mg/dl以下;H・BSーCPR群、n=6)の両群に分けて検討した結果、基本的には分ける以前の結果と同様であり、高血糖群と血糖調節群の間にはどのアミノ酸にも有意差はなかった。 本研究により、CPR後に脳脊髄液中の興奮性および抑制性アミノ酸神経伝達物質が増加することがヒトで初めて確認できた。しかし、血糖値の差による有意差はばらつきが大きく、認められなかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 前川 剛志他: "Amino acid neurotransmitters in human cerebrospinal fluid following cardiopulmonary resuscitation." J Appl Physiol.
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[Publications] 立石 彰男他: "Sequential changes of glutamate and aspartate in human cerebrospinal fluid following cardiopulmonary resuscitation." Neurology.
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[Publications] 定光 大海他: "Correlation between cerebral blood flow velocity and EEG activity following cardiopulmonary resuscitation in human." Crit Care Med.
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[Publications] 前川 剛志他: "Correlation of neurologic deficits,plasma glucose level and cerebrospinal fluid amino acid neurotransmitters following cardiopulmonary resuscitation." Anesthesiology.