1990 Fiscal Year Annual Research Report
同種癌細胞自己リンパ球混合培養誘導キラ-細胞に関する研究
Project/Area Number |
02454397
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石川 哮 熊本大学, 医学部, 教授 (00009143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪川 勉 熊本大学, 医学部, 助教授 (20151251)
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Keywords | 同種癌 / 自己癌キラ-細胞 / rILー2 / HLA |
Research Abstract |
平成2年度には頭頚部癌患者から手術的に得た癌組織を用いて癌細胞分離を行い、凍結保存(約50例:扁平上皮癌、腺癌、腺様嚢胞癌、黒色腫、未分化癌)と培養株樹立(扁平上皮癌2例、腺様嚢胞癌1例)に成功した。自己癌の代わりにこれら保存癌を用いて同種癌リンパ球混合培養を行い、自己癌キラ-細胞を誘導し、これを患者に戻し輸血して治療することが本研究の目的であるため、平成2年度にはこれら保存癌細胞の一部を用いて基礎的研究を行い、以下の結果を得た。 自己癌と組織学的に同一の同種癌を末梢血リンパ球と混合培養(5日間)し、更にrecombinant interleukin2(rIL2)で12日間活性化すると、自己癌を強く障害するキラ-細胞が誘導される。この培養リンパ球はCD4+細胞の方がCD8+細胞より多いが、キラ-活性の約55%はCD3+8+にあり、又、キラ-活性の約40%はHLA class1抗原に拘束され、この培養で自己癌特異的CTLが誘導されている事が明らかになった。同種癌細胞を供給した患者の末梢血リンパ球をマイトマイシンCで処理し、これと自己リンパ球との混合培養では自己癌キラ-活性は始ど誘導されない事から、これらの結果は自己癌と組織学的に同一の同種癌には共通抗原性があって、混合培養で、癌抗原とHLA抗原をリンパ球が認識し、抗原選択を受け、更にrILー2でCTLへの分化が起こっているという基礎的に重要な示唆を与えている。更に同種癌刺激による試験管内誘導自己癌キラ-細胞の臨床応用が可能であり、そのキラ-活性は自己癌に特異性が高く、活性も強いことから有力な治療法となる可能性を示唆するものである。実際の臨床例を重ねつつある。
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