1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454412
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
宇山 昌延 関西医科大学, 医学部, 教授 (30025580)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 和矢 関西医科大学, 医学部, 講師 (90174599)
西村 哲哉 関西医科大学, 医学部, 講師 (30156111)
|
Keywords | 脈絡膜新生血管 / 老人性円板状黄斑変性症 / 網膜下新生血管 / 加令性黄斑変性症 / レ-ザ-光凝固 / 色素レ-ザ- / 網膜疾患 / 網膜色素上皮 |
Research Abstract |
1.目的 老人性円板状黄班変性症は近年、高齢者の失明原因として急増している。本症は、脈絡膜血管から網膜下へ発展した脈絡膜新生血管がその本態であり、その唯一確実な治療法はレ-ザ-を用いた脈絡膜新生血管の光凝固療法である。本治療法の治療指針確立のために実験を行い、理論的裏付けを行った。サル眼網膜にクリプトンレ-ザ-で強い光凝固を行って、脈絡膜新生血管を実験的に作成した。そのうち長期に亘って持続する新生血管に対して、種々の条件でレ-ザ-治療を行い、その至適条件を求めた。 2.実験方法 種々のレ-ザ-を用い、蛍光眼底造影で証明された新生血管網に弱凝固、強凝固を行い、その後3月まで、眼底検査、蛍光眼底造影および摘出眼球の光顕および電顕による病理組織学的検索を行った。 3.実験結果 弱凝固、又は新生血管網全体をおおわない不完全凝固では新生血管は閉塞されないで残り、病巣は治癒しなかった。強凝固、および新生血管網全体をおおう完全な凝固によって新生血管は凝固閉塞し、病巣から消失して病巣は瘢痕化し治癒した。アルゴンレ-ザ-では新生血管の凝固閉塞は不確実で、かつ網膜内層への侵襲が強く広範囲におよんだ。色素レ-ザ-の630nm(赤色)でも新生血管の凝固閉塞は不十分であった。色素レ-ザ-の577nm(黄色)と590nm(橙色)が血管閉塞効果は最も良かった。 4.考按と結論 この実験は、脈絡膜新生血管をレ-ザ-光凝固によって閉塞させるには色素レ-ザ-の577nmと590nmが最も適していること、アルゴンレ-ザ-と色素レ-ザ-630nmは閉塞効果がおこることが明らかになった。又、光凝固は新生血管網全体をおおって確実に強く凝固する必要のあることが明らかにされ、いずれも臨床的応用に重要な有益な知見が示された。
|
-
[Publications] 宇山 昌延: "脈絡膜新生血管、基礎と臨床(第95回日本眼科学会総会 特別講演)" 日本眼科学会雑誌. 95. 1145-1180 (1991)
-
[Publications] 高橋 寛二: "実験的網膜下新生血管に対する色素レ-ザ-による光凝固治療 1.光凝固による治癒過程の組織学的検索" 日本眼科学会雑誌. 94. 799-809 (1990)
-
[Publications] 高橋 寛二: "実験的網膜下新生血管に対する色素レ-ザ-による光凝固治療 2.光凝固の奏効しなかった病巣の組織学的検索" 日本眼科学会雑誌. 94. 810-819 (1990)
-
[Publications] 山田 佳苗: "実験的脈絡膜新生血管に対するレ-ザ-光凝固 第1報:弱度凝固による新生血管の凝固効果" 日本眼科学会雑誌. 96. 169-179 (1992)