1990 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル芽細胞と象牙芽細胞の分化と相互作用に関する免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
02454416
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
栗栖 浩二郎 九州大学, 歯学部, 教授 (50028346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 健吾 九州大学, 歯学部, 助手 (90189134)
久木田 敏夫 九州大学, 歯学部, 講師 (70150464)
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Keywords | 歯胚 / エナメル芽細胞 / 象牙芽細胞 / 発生 / 分化 / モノクロ-ナル抗体 / 免疫組織化学 / ラット |
Research Abstract |
われわれの、アメロゲニンに対するモノクロ-ナル抗体を用いた歯胚の発生分化に関する免疫組織化学的研究で、未分化なエナメル芽細胞がアメロゲニンを合成分泌し、象牙芽細胞層を含む歯乳頭方向に浸透し、一部は未分化な象牙芽細胞によってとりこまれていることを観察した。この観察所見より、アメロゲニンがエナメル質基質の主要な構成成分として機能するだけではなく、象牙芽細胞の分化にも何らかの役割を果たしている可能性が示唆された。そこで本研究では、(1)器官培養頭件下での歯胚にアメロゲニンに対すモノクロ-ナル抗体を大量に加えてアメロゲニンの象牙芽細胞への取込みをブロックすることによってアメロゲニンの象牙芽細胞への影響を検討すること、(2)象牙芽細胞表面のアメロゲニン・リセプタ-の存在の有無と、培養条件下での象牙芽細胞に対するアメロゲニンの生理的作用の検索をおこなうことを本研究の目的としている。 本年度は(1)胎生18日〜19日のマウス胎仔より臼歯歯胚を摘出し、最適器官培養条件の探求をおこなった。その結果、MillicellーHA(ミリポア)中で10%FCS添加DMEM培地を用い、50%O_2、45%N_2、5%CO_2、37℃の条件がエナメル質、象牙質の形成状態が最もよいことがわかった。(2)この条件下で、培地中に抗アメロゲニンモノクロ-ナル抗体En3を添加すると抗体は歯胚中に浸透し、エナメル芽細胞が分泌するアメロゲニンに結合してその部に沈着することが、歯胚切片に螢光標識2次抗体に用いて示された。(3)200μg/mlのEn3抗体を培地に添加すると象牙質の形成抑制が見られた。今後例数を増やしてこのことを確かめるとともに、En3抗体の象牙芽細胞の分化と象牙質形成に対する影響をさらに詳細に検討したい。(4)一方、新生仔マウスの腹腔にEn3抗体を注射したところ、in vitroと同様の影響があることを示唆する結果も得られているので、この方法による実験もさらに継続したい。
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