1991 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル芽細胞と象牙細胞の分化と相互作用に関する免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
02454416
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
栗栖 浩二郎 大阪大学, 歯学部, 教授 (50028346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 健吾 九州大学, 歯学部, 助手 (90189134)
松尾 三郎 大阪大学, 歯学部, 講師 (30144497)
脇坂 聡 大阪大学, 歯学部, 助教授 (40158598)
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Keywords | エナメル芽細胞 / 象牙芽細胞 / 歯胚 / 免疫組織化学 / モノクロ-ナル抗体 / ラット |
Research Abstract |
ラット臼歯歯冠のエナメル欠如域が全くエナメル質を欠くか否かを調べるため、1〜4日齢ラットの第一臼歯について、抗アメロゲニン抗体En3を用いて、光顕および電顕レベルの免疫組織化学的方法で検索した。 1日齢では、咬頭頂部に、丈の低く極性の見られない未分化エナメル芽細胞様細胞が見られた。これらの細胞は外エナメル上皮細胞に近接していた。ヘマトキシリン・エオジン染色標本の通常の光顕観察では、エナメル欠如域にヘマトキシリン陽性のエナメル質基質は観察されなかったが、免疫螢光染色では象牙質と未分化エナメル芽細胞様細胞との間にほぼ連続的なアメロゲニンの陽性反応が観察された。また、この部分では免疫反応陽性物質の歯髄方向への浸透現象が観察された。 4日齢では、前頭方向及び水平方向の切片で、エナメル欠如域の象牙質と未分化エナメル芽細胞様細胞の間にほぼ連続的なアメロゲニンの陽性反応が観察された。しかし、免疫反応陽性物質の歯髄方向への浸秀現象は観察されなかった。電顕レベルの免疫組織化学的方法では、免疫反応陽性物質は未分化エナメル芽細胞様細胞のゴルジ装置、象牙質と未分化エナメル芽細胞様細胞との間の無構造物質、未分化エナメル芽細胞様細胞の細胞間隙のエナメル基質様物質に認められた。未分化エナメル芽細胞様細胞の遠心端はト-ムスの突起は無く、基底膜も認められなかった。 以上の観察所見より、未分化エナメル芽細胞様細胞は分泌細胞に分化し、アメロゲニンを含む物質を合成して未分化エナメル芽細胞様細胞と象牙質の間隙に分泌することを示唆している。アメロゲニンの歯髄方向への浸透現象は、未分化エナメル芽細胞様細胞と象牙芽細胞との相互作用または、象牙前質の石灰化の開始に何らかの役割を果たしているのかもしれない。 ラット臼歯歯胚の器官培養系にEn3抗体を加えると一部の試料で歯冠の形成異常が見られた。しかし、この効果は再現性が乏しいため、現在実験条件を検討中である。また、En3抗体を腹腔内投与すると、歯胚の免疫染色が切片染色より高い感度で行えることが分かり、この方法は免疫組織化学に広く応用できる事が確かめられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Inai,T.Kukita,Y.Ohsaki,K.Nagata,A.Kukita,K.Kurisu: "Immunohistochemical demonstration of amelogenin penetration toward the dental pulp in the early stages of ameloblast development in rat molar tooth germs." Anat.Rec.229. 259-270 (1991)
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[Publications] T.Inai,K.Nagata,T.Kukita,K.Kurisu: "Demonstration of amelogenin in the enamelーfree cusps of rat molar tooth germs:Immunofluorescent and immunoelectron microscopic studies." Anat.Rec.231. (1992)